録画を最初から再生すると、待ち時間や「聞こえていますか」の確認が続き、本題は数分後、ということがよくあります。この記事では、何を切り、何を足し、どこに見出しを付けるかを、録画を見ながら決められる形にまとめました(編集ソフトの操作の説明ではありません)。
ウェビナーの録画を直す3つのこと
最後まで見てもらいやすい録画に
ウェビナーの動画編集は「切る・足す・見出し」の3つを押さえる
Zoom や Teams で録ったウェビナーの録画(セミナー動画)を編集するとき、凝った演出は必要ありません。見る人にとって大事なのは、すぐに本題に入れることと、知りたい所へすぐ飛べることです。そのために直すのが、図1の3つです。
- 切る: 録画で見る人には関係のない時間(待ち時間・音の確認・ライブ限定の案内・トラブル)
- 足す: 最初の1分に「今日分かること」、聞き取りにくい所の字幕、最後の案内
- 見出し: スライドの章の切れ目ごとに、チャプター(目次)を付ける
なぜ「最初」がそれほど大事なのか。2023年の調査で、60分の仕事のウェビナーに参加したとして、開始何分ぐらいで見続けるか(途中でやめるか)を判断するかをたずねたところ、「5分以内」8.2%、「10分程度」18.2%、「15分程度」18.5%、「20分程度」11.0%で、合わせて55.9%が開始20分以内と答えています。
これはライブのウェビナーを思い浮かべての答えで、録画の視聴の数字ではありません。それでも、始まりの時間帯が「見続けるか」の分かれ目になりやすいことは分かります。いつでも閉じられる録画では、始まりを整えておく意味はさらに大きいと、映作堂は考えています。
出典: ウェビナー参加者の意識調査(株式会社トップランナーマーケティング・2023年・25〜50歳の2,699人) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000076161.html
録画の冒頭で切る所:待ち時間・音の確認・長いあいさつ
ウェビナーの録画で、いちばん直す所が多いのは冒頭です。ライブのときは、参加者が集まるのを待ったり、音が届いているかを確かめたりする時間が必要でした。でも録画で見る人には、その時間は必要ありません。冒頭の5分ほどを見て、次の4つを探してください。
- 開始前の待ち時間
(無音・待機画面) - 「聞こえていますか」
音や画面の確認 - ライブ限定の案内
(チャット・アンケートの使い方) - 長いあいさつ・会社紹介
(切らずに短く詰める)
切ってよいもの
開始前の待ち時間と、音や画面の確認のやりとりは、まるごと切って大丈夫です。「チャット欄はこちらから」「アンケートは終わりにお願いします」といったライブの参加者向けの案内も、録画で見る人には使えないので切ります。
切らずに短く詰めるもの
主催者の名乗りや、講師の紹介は、だれが話しているかが分かる大事な情報です。まるごと切るのではなく、長い所を詰めて残します。会社紹介が長い場合は、短くするか、本題の後ろ(まとめの前など)へ回すのも一つの方法です。
こうして冒頭を整えると、空いた最初の1分に「今日分かること」を置けるようになります。これは4章の「足す」で説明します。
途中で切る所・残す所(質疑応答はどうする?)
途中で切る所
- 画面共有の切り替え: 「今、スライド見えていますか」のやりとりや、画面が切り替わるまでの待ち
- トラブル: 音が途切れた、接続が切れた、資料を探して黙っている時間
- 日付が過ぎた案内: 「本日中のお申し込みで」など、録画を見る時点では使えない案内
切りすぎないほうがよい所
言い間違いや「えー」「あのー」をすべて切る必要はありません。細かく切りすぎると、話がぶつ切れになって、かえって聞きにくくなります。直すのは、言い間違いで意味が変わってしまう所(数字・製品名・日付など)だけで十分です。
映ってはいけないもの
質疑応答で読み上げた質問した方のお名前や、画面共有で映った社外秘の資料・メールの通知は、公開する前に必ず確かめます。ウェビナーの画面で映りやすい所は、動画編集を依頼する前に決める5つのこと(出してはいけないもの)の図にまとめています。個人情報の扱いは社内の決まりに沿い、判断に迷うときは弁護士などの専門家にご相談ください。
質疑応答は、目的で選ぶ
質疑応答をどうするかは、録画をだれに見せるかで変わります。「残す」「よく出た質問だけ短くする」「別の動画にする」の3つから、目的に合うものを選んでください。
| 質疑応答の扱い | 申込者だけに送る | 一般に公開する | 社内の研修に使う |
|---|---|---|---|
| そのまま残す | ◎ 参加できなかった方も同じ内容を受け取れる | △ お名前や社名が出ないかの確認が多い | ◎ 現場の疑問がそのまま教材になる |
| よく出た質問だけ短くする | ○ 時間が短くなり、見やすい | ◎ 確認する所が減り、要点も伝わる | ○ 大事な質問にしぼれる |
| 別の動画にする | ○ 本編を短くできる | ○ 本編と分けて公開を判断できる | ◎ よくある質問集として何度も使える |
◎はとくに合う、○は合う、△は手間がかかる、の目安です。どれを選んだ場合も、質疑応答には独立した見出しを付けておくと、見る人が探しやすくなります(5章)。
足す所:最初の1分・字幕・スライドの差し替え
最初の1分に「今日分かること」
冒頭を整えたら、録画のいちばん最初に、題名と「今日分かること」を3つほど見せる画面を足します。30秒ほどで十分です。見る人は、最初の数十秒で「自分に関係がある話か」を判断できるので、見続けるかどうかを迷わずにすみます。スライドの「本日の内容」や目次のページがあれば、それを最初に持ってくるだけでも形になります。
聞き取りにくい所・大事な所の字幕
2026年の調査では、過去1年以内にウェビナーに参加した20〜50代のビジネスパーソンのうち、36.7%が「他の業務をしながら視聴」、30.0%が「アーカイブで倍速視聴」と答えています。ほかの作業をしながら聞く人や、速く再生する人にも伝わるように、次の所には字幕を足しておくと安心です。
- 音が小さい・こもっていて、聞き取りにくい所
- 数字・製品名・専門用語など、聞き間違えると困る所
- その章でいちばん伝えたい一言
出典: ウェビナーの参加実態に関する調査(株式会社経営参謀・2026年・20〜50代のビジネスパーソン1,003人) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000016218.html
見にくいスライドの差し替え
画面共有のスライドは、録画では文字が小さく、ぼやけて見えることがあります。表や細かい数字のページは、元のスライドの資料から画像を作って差し替えると、ぐっと読みやすくなります。
最後の案内
録画の終わりには、資料のダウンロード先や問い合わせ先など、録画を見た時点でも使える案内を足します。2章・3章で切った「本日中のお申し込み」などの代わりになるものです。
ウェビナー録画に見出し(チャプター)を付ける場所
見出しを付ける場所に迷ったら、スライドの章の切れ目をそのまま使います。話す側が「ここから次の話」と区切った所が、見る側にとっても区切りになるからです。目次のスライドがあれば、その項目がそのまま見出しになります。
- 見出しの言葉は「第2章」ではなく、中身が分かる言葉にする(例: 「申請の3つの手順」)
- 質疑応答は独立した見出しにする(質問の所だけを見たい人が、すぐ探せるように)
- 最後の「まとめと案内」にも見出しを付ける
YouTube に公開する場合は、説明欄に時刻と見出しを書くと、動画にチャプターが付きます。2026年10月時点では、最初を 00:00 にして、時刻を3つ以上、早い順に並べ、1つの章を10秒以上にする決まりです。YouTube 以外で共有する場合も、案内のメールや説明文に同じ一覧を書いておくと、見る人が知りたい所へ飛べます。
出典: YouTube ヘルプ「動画のチャプター」 https://support.google.com/youtube/answer/9884579?hl=ja
- 見出し
- はじめに:今日分かること3つ
- 見出し
- 〇〇申請で、まず確かめる条件
- 見出し
- 申請の3つの手順
- 見出し
- よくある書き間違いと直し方
- 見出し
- 質疑応答
- 見出し
- まとめと、資料・お問い合わせの案内
録画を見ながら使う確認表(1時間の録画の例つき)
ここまでの「切る・足す・見出し」を、録画を見ながら書き込めるようにしたのが、下の確認表です。使い方はかんたんです。
- 録画を1.5倍速くらいで、最初から最後まで1回通して見る(60分の録画なら約40分)
- 気になった所で止めて、時刻・印(切る/足す/見出し)・中身を一言書く
- 迷った所は「切る?」と書いて残し、あとで社内の人と決める
架空の1時間のウェビナーで、印のとおりに直すとどう変わるかを並べたのが図4です。
60分の録画を直す前と後(架空の例)
- 00:00〜03:00 開始前の待ち時間・音の確認参加者を待つ無音の時間と「聞こえていますか」切る(−3分)
- 03:00〜08:00 あいさつ・注意事項・会社紹介ライブ限定の案内を含む5分切る(案内を切り、3分に詰める・−2分)/足す(最初に「今日分かること」約30秒)/見出し「はじめに」
- 08:00〜20:00 第1章スライドの1章見出し
- 20:00〜33:00 第2章途中で画面共有のトラブルが1分見出し/切る(トラブル・−1分)
- 33:00〜45:00 第3章表の細かいスライドがある見出し/足す(スライドの差し替え・数字の字幕)
- 45:00〜57:00 質疑応答質問した方のお名前を読み上げている見出し/残す(お名前は出さない)
- 57:00〜60:00 まとめ・案内「本日中のお申し込みで」の案内がある見出し/切る(日付の過ぎる案内・数十秒)・足す(資料と問い合わせ先)
切った時間は全体の1割ほどですが、最初の画面が「待ち時間」から「今日分かること」に変わるのが大きな違いです。時間の長さより、始まり方と見出しが、見てもらいやすさを左右します。
そのまま使える確認表を置いておきます。コピーして、表計算のシートや社内のメモに貼って使ってください。
ウェビナー録画の確認表
ウェビナー録画の確認表 録画: 【ウェビナーの題名】(【〇〇】分) 見た人: 【お名前】 見た日: 【〇月〇日】 公開する先: 【申込者だけ/一般に公開/社内の研修】 ■ 冒頭の5分ほどで必ず見る所 □ 開始前の待ち時間(何分まで続くか) □ 音や画面の確認のやりとり □ ライブ限定の案内(チャット・アンケートの使い方) □ あいさつ・会社紹介の長さ ■ 印を付ける(時刻/印/中身を一言) 印は「切る」「足す」「見出し」の3つだけ (例)00:00〜03:00/切る/開始前の待ち時間と音の確認 (例)03:00/足す/最初に「今日分かること」3つ (例)08:00/見出し/〇〇申請で、まず確かめる条件 【時刻】/【切る・足す・見出し】/【中身を一言】 【時刻】/【切る・足す・見出し】/【中身を一言】 【時刻】/【切る・足す・見出し】/【中身を一言】 ■ 質疑応答 【そのまま残す/よく出た質問だけ短くする/別の動画にする】 ■ 公開の前に □ 質問した方のお名前が出ていない □ 社外秘の資料・メールの通知が映っていない □ 日付の過ぎた案内が残っていない
自分で直すか、頼むか:印を付けた表がそのまま依頼のメモになる
確認表に印を付けるところまでは、社内で行うのがおすすめです。どこが大事な話で、どこが社外に出せないかは、中身を知っている社内の方がいちばんよく分かるからです。
そのあとの作業(切る・字幕を足す・スライドを差し替える・見出しを付ける)は、社内で行っても、外に頼んでもかまいません。社内で行う場合も、印が付いていれば迷わずに進められます。外に頼む場合は、印を付けた確認表をそのまま渡せば、依頼のメモになります。「何を、どこまで直してほしいか」が伝わるので、見積もりも出してもらいやすくなります。
- ウェビナーの前後の作業のうち、どこまでを外に出すかを決めたいとき → ウェビナーの外注はどこまで出す?集客・当日・録画の後に分ける作業20個の分担表
- 編集を頼むときの料金の決まり方と、見積もりの頼み方を知りたいとき → 動画編集の依頼相場:1本の値段が変わる6つの条件と、見積もりの頼み方
映作堂でお引き受けしている作業の中身と料金は、ウェビナー録画の編集のページにまとめています。
見積もりを頼むときの1枚シートはセミナー動画の編集料金の記事、依頼してから届くまでの流れはウェビナー録画の編集を依頼したときの記事、録画をだれに公開するかはアーカイブ配信の記事、1本の録画からいくつもの素材を作る方法はウェビナーの二次利用の記事にまとめています。
次のウェビナーの録画を、どの設定で撮り、どこに残すかは、ウェビナー録画の保存先と設定の記事にまとめています。
まとめ
ウェビナーの動画編集で、どこを直すかをもう一度まとめます。
- 直すのは「切る・足す・見出し」の3つ。凝った演出より、すぐ本題に入れることと、知りたい所へ飛べること
- 冒頭の待ち時間・音の確認・ライブ限定の案内は切る。あいさつと会社紹介は短く詰める
- 最初の1分に「今日分かること」を足す。聞き取りにくい所・数字には字幕を
- 見出しはスライドの章の切れ目に。質疑応答は独立した見出しにする
- 確認表に印を付けるところまでは社内で。印を付けた表は、そのまま依頼のメモになる
まずは次のウェビナーの録画で、冒頭の5分ほどだけでも見直してみてください。始まりが変わるだけで、録画の印象は大きく変わります。
よくある質問
Zoom(Teams)のウェビナー録画は、そのまま公開してもいいですか?
公開することはできますが、少なくとも開始前の待ち時間を切ることと、質問した方のお名前や社外秘の資料が映っていないかの確認はしておくと安心です。この2つだけでも、見る人の印象と、公開したあとの心配が変わります。
質疑応答は、残したほうがいいですか?
録画をだれに見せるかで変わります。申込者だけに送るならそのまま残す、一般に公開するならよく出た質問だけ短くする、社内の研修なら別の動画にしてよくある質問集にする、などの選び方があります。3章の表を目安にしてください。
言い間違いや「えー」は、全部切るべきですか?
全部を切る必要はありません。細かく切りすぎると、話がぶつ切れになって聞きにくくなります。数字・製品名・日付など、言い間違いで意味が変わる所だけ直せば十分です。
1時間の録画は、何分くらいにすればいいですか?
決まった長さはありません。2024年の調査では、企業のウェビナーの長さについて、9割以上が「1時間以内」がよいと答え、「45分以内」と答えた人が約6割でした。ただ、録画を短くすることより、最初の1分と見出しを整えるほうが、見てもらいやすさにつながります。もっと短い動画にしたい場合は、本編とは別に、要点だけの短い版を作る方法もあります。
出典: 「企業ウェビナーの視聴状況」に関する調査(株式会社Jストリーム・2024年・550人) https://www.value-press.com/pressrelease/333972
映作堂について
映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、開始前の待ち時間や音声のトラブルのカット、字幕、章見出し・チャプターまで整えてお届けします。まずは1本、お試しください。