頼む前に決める5つのこと

  1. 動画の役目だれに、何を
  2. 任せる範囲作業・長さ・納品の形
  3. 社内の確認確認役と日数
  4. 素材と注意点出してはいけないもの
  5. データと権利保管・削除・使い道

依頼文にまとめて、まず1本お試し

図1 この記事の流れ。上から順に決めると、依頼文がほぼできあがります

この記事で分かること

  • 頼む前に社内で決める5つと、その決め方
  • 依頼文に書く12の項目と、そのまま使えるひな形
  • 最初の1本で確かめること

「ウェビナーの録画を、来られなかった方にも届けたい」「YouTubeを始めたいけれど、社内に編集できる人がいない」。そう考えて編集の外注先を探しはじめると、料金や依頼先の情報はたくさん見つかります。

一方で、頼んだあとに「思っていたのと違う」「修正のやりとりが何往復も続く」となってしまうことがあります。こうしたずれには、頼む前に社内で決めておけば防げるものが少なくありません。依頼先が個人(フリーランス)でも、制作会社でも、仲介サイト(クラウドソーシング)経由でも、決めておくことは同じです。

動画の「役目」を1行で決める

最初に決めたいのは、その動画の役目です。「だれに見せて、見た人に何をしてほしいか」を1行で書いてみてください。

  • 商談の前にお客さまに見てもらい、当日の説明の時間を短くする
  • ウェビナーに来られなかった申込者に録画を届け、資料のご請求につなげる
  • 新しく入った社員に、研修の前に見ておいてもらう
だれに例: 来られなかった申込者
何をしてほしいか例: 資料を請求してほしい
動画の役目1行で書く
長さ字幕の有無ショートの要否公開する場所
図2 役目が決まると、細かいことも自然に決まっていきます

たとえば「移動中にスマートフォンで見てもらう」なら、音を出さなくても内容が分かる字幕があったほうがよい、という具合です。

動画制作会社の調査では、動画を使っているBtoB企業の担当者の3人に1人以上(37.3%)が、効果が「わからない」と答えています。役目を1行で決めておけば、少なくとも「その役目を果たせたか」で振り返ることができます。

出典: 「BtoB企業の営業・マーケティングにおける動画活用の実態調査」株式会社Lumii(動画制作会社)、2025年1月16日〜22日、オンライン調査、402人(「効果があった」は「非常に」と「やや」を合わせて51.0%) https://kyodonewsprwire.jp/release/202501303591

あわせて、録画のあとの使い道も決めておきましょう。1本の録画は、いくつもの形で使えます。

1本の録画
  • アーカイブ録画そのものを公開
  • ショート動画短く切り出して縦型に
  • 要約文・目次説明欄や記事に
  • 研修の教材社内で何度も使う
図3 どこで使うかを先に決めると、次の「任せる範囲」がぶれません

どこまで任せるかを決める

「編集をお願いします」の一言では、人によって思い浮かべる作業が違います。下の作業の一つずつに「任せる」「社内でやる」「やらない」の印を付けるだけで、依頼の中身がはっきりします。社内で回して、印を付けてみてください。

作業決めることの例印
カット開始前の待ち時間、言い直し、音声の確認のやりとりを切るか任せる社内やらない
字幕話した言葉をすべて文字にするか、要点だけ出すか任せる社内やらない
テロップ・効果音大事な所を大きな文字で見せるか。どのくらいの数か任せる社内やらない
BGM曲を指定するか、おまかせにするか任せる社内やらない
ぼかし顔、画面に映った資料、車のナンバーなどを隠すか任せる社内やらない
ショート動画縦型の短い動画を、何本切り出すか任せる社内やらない
サムネイル一覧に表示される表紙の画像を作るか任せる社内やらない
要約文・目次説明欄に載せる文章や、チャプター(目次)を作るか任せる社内やらない
投稿の予約YouTubeなどへの公開の設定まで頼むか任せる社内やらない
企画何を話すか、題名をどうするかまで相談したいか任せる社内やらない

あわせて、次の2つも数字や言葉で書いておきます。

  • 長さと本数: 「元の録画は約90分、仕上がりは60分前後」のように、元の長さと仕上がりの長さを分けて書きます。月に何本頼むかも決めておきます。
  • 納品の形: ファイルの形式(MP4など)、横型か縦型か、字幕を動画に入れ込むか別のファイルにするか、どこで受け取るか。ここが抜けると「届いたけれど、使いたい場所で使えない」が起こります。

料金は、主にこの作業の範囲と動画の長さで決まります。同じ60分の録画でも、カットだけを頼むのか、全文の字幕とショート動画まで頼むのかで、作業の量は大きく変わります。範囲が決まっていれば、複数の外注先に同じ表を渡して、同じ条件で見積もりを見比べられます。

見積もりを受け取ったら、修正は何回まで料金に含まれるか、どんな修正から追加の料金になるか(たとえば、撮り直した素材への差し替えや、構成の大きな変更)も、あわせて確かめておきましょう。

社内の確認役と、確認にかける日数を決める

意外と決まっていないのが、社内でだれが、いつまでに確認するかです。ここが決まっていないと、関係者の意見がばらばらに届いたり、確認が止まって公開日が延びたりします。

  • 確認する人を1人に決める: 複数の人が見る場合も、意見をまとめて最後に決める人を1人にします。
  • 確認の締め切りを決める: たとえば「初稿を受け取ってから3営業日以内に返す」。
  • 修正はまとめて1回で伝える: 気づいた順に送るより、1つにまとめたほうが、直す側も確認する側も早く終わります。
  1. 初稿を受け取る依頼先の納期
  2. 関係者が見る締め切りを先に伝える
  3. 確認役がまとめる意見を1つの一覧に
  4. 1回で返す修正メモを送る
依頼先の納期社内の確認(例: 3営業日)修正公開日
図4 社内の確認の流れ。公開日から逆算して、確認の日数を先に決めておきます

修正を伝えるときは、再生時間・直したい所・理由・どうなってほしいかの4つをそろえます。たとえば、次のようなメモです。

修正メモ(初稿)確認役: 〇〇 返却: 3営業日以内
12:40
直したい所
製品名の字幕が「〇〇プロ」
理由
正式な表記は「〇〇 Pro」
どうなってほしいか
正式な表記にそろえる
25:10〜26:00
直したい所
質問した方のお名前が字幕に出ている
理由
社外に公開する動画のため
どうなってほしいか
お名前を出さない
図5 修正メモの見本。「再生時間・直したい所・理由・どうなってほしいか」をそろえる

「なんとなく違う」「もう少しいい感じに」では、作る側はどこをどう直せばよいか分かりません。理由と、どうなってほしいかが書いてあれば、1回で直せる見込みが高くなります。

渡す素材と「出してはいけないもの」を決める

渡す素材

  • 置き場所: 社内で使っている共有フォルダ(Google ドライブ・Box・OneDrive など)のリンク。ファイル名に日付と中身を入れておくと、取り違えが起きません。
  • ロゴ・指定の色: 動画の中で使うもの。
  • 社名・製品名・サービス名の正しい書き方: 「株式会社」の位置、英字の大文字と小文字、略してよいか。
  • 参考にしたい動画: 「この字幕の出し方が好き」など、どこが良いかを一言添える。

出してはいけないもの

会社の録画には、社外に出せないものが映っていることがあります。たとえばウェビナーの画面なら、次のような所です。

ウェビナーの録画(見本) 取引先の社名 来期 質問・〇〇さま 質問・△△さま 新着メール: 〇〇株式会社さま 1 2 2 3 4 5
  1. 1お客さまや取引先の社名・ロゴ
  2. 2画面に映った資料・メール・社内の管理画面
  3. 3質疑応答で質問した方のお名前
  4. 4まだ発表していない数字・製品・予定
  5. 5映りたくない社員・参加者
図6 ウェビナーの画面で、社外に出せないものが映りやすい所(架空の画面)

こうしたものは、先に一覧にして渡しておきましょう。一覧があれば、作る側は最初から外して作れます。確認する側も、一覧と照らし合わせるだけで済むので、確認が早く終わります。

一度伝えたことを、次の回に引き継ぐ

「社名は2回目以降も略さない」「『申し込み』ではなく『申込み』にそろえる」など、確認のときに伝えたことは、表記の一覧(用語集)に書き足していきます。依頼先に渡すだけでなく、社内でも同じ一覧を持っておくと、担当者が変わっても同じ説明をくり返さずに済みます。

データの扱いと、できた動画の権利を決める

社内の録画を社外に預ける以上、データの扱いは先に決めておきたいところです。預けたデータの流れに沿って、決めることを並べると次のとおりです。

  1. 渡す共有フォルダのリンクで渡す決めること: 見るだけの権限か/期限をつけるか/「リンクを知っている全員」にしない
  2. 編集する依頼先の手元で作業決めること: 秘密保持契約は必要か/文字起こしなどに外部のサービスを使ってよいか
  3. 受け取るできた動画が届く決めること: 権利がいつ自社に移るか/どこで使ってよいか/編集のデータも受け取れるか
  4. 保管・削除依頼先に残ったデータ決めること: いつまで持っておくか/いつ削除し、削除の連絡をもらえるか
図7 預けたデータの流れと、それぞれの段階で決めること

もう一つ、BGM・画像・フォントの使える範囲も確かめておきます。YouTubeでは使えても、広告や展示会の会場では使えない素材もあるためです。

個人(従業員のいないフリーランス)に頼む場合の決まり

2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(フリーランス法)では、頼む側の事業者は、仕事の内容・報酬の額・支払期日などを、書面かメールなどですぐに示すことになっています(口頭だけでは足りません)。また、従業員のいる会社などが頼む場合、報酬は成果物を受け取った日から60日以内の、できるだけ短い期日に支払います。

どの決まりが当てはまるかは、相手の働き方や取引の期間などで変わります。詳しくは公正取引委員会のサイトをご覧いただき、判断に迷うときは弁護士などの専門家にご相談ください。

出典: フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)、公正取引委員会 特設サイト https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/

相手が個人でも会社でも、ここで決めたことをメールや書面にまとめて送っておけば、条件の行き違いを防げます。

最初は1本だけ試して、確かめる

5つを決めたら、いきなり何本もまとめて頼むより、まず1本だけ頼んでみるのがおすすめです。お試しの1本も、料金・納期・修正の回数を、続けて頼むときと同じ条件で決めておくと、続けたときの姿が分かります。1本目では、次の4つを見ます。

  • 約束した納期どおりに届いたか
  • 社名・製品名・用語が正しいか
  • 社内の確認に何時間かかったか
  • 連絡のしかたが自社に合うか

とくに3つ目は見落としがちです。仕上がりが良くても、確認と修正に毎回何時間もかかるなら、社内の手間は思ったほど減っていません。2本目からは、1本目で伝えたことが引き継がれているか(同じ指摘をくり返していないか)を見ます。ここがそろえば、続けるほど確認が楽になっていきます。

まとめ: 依頼文に書く12項目(ひな形つき)

ここまでの内容を、依頼文に書く12の項目にまとめました。社内で埋めてから、依頼先に送ってみてください。

  1. 動画の役目(だれに見せて、何をしてほしいか)と、使う場所
  2. 任せる作業(2の表で「任せる」を付けたもの)
  3. 長さと本数(元の長さ・仕上がりの長さ・月の本数)
  4. 納品の形(ファイルの形式・横型か縦型か・字幕の入れ方)
  5. 修正の回数と、追加の料金になる条件
  6. 社内の確認役と、確認の締め切り
  7. 素材の置き場所(共有フォルダのリンク)
  8. 表記のルール(社名・製品名・ロゴ・色)
  9. 出してはいけないもの
  10. データの保管の期間と、削除の連絡
  11. できた動画の権利と、使ってよい範囲
  12. 1本目の希望の納期と、公開したい日

そのまま使える依頼文のひな形

件名: 動画編集のご相談(【動画の名前】)

【依頼先のお名前】さま

【会社名】の【お名前】です。動画の編集についてご相談させてください。

1. 動画の役目: 【だれ】に見てもらい、【してほしいこと】につなげたい。使う場所は【YouTube/自社サイト/社内】です。
2. お願いしたい作業: 【カット・字幕・テロップ・ショート など】
3. 長さと本数: 元の録画は約【〇〇】分、仕上がりは【〇〇】分前後。月に【〇】本の予定です。
4. 納品の形: 【MP4・横型】、字幕は【動画に入れる/別のファイル】。受け取りは【共有フォルダ】でお願いします。
5. 修正: 何回まで料金に含まれるか、追加の料金になる条件を教えてください。
6. 社内の確認: 確認役は【お名前】です。初稿から【3】営業日以内にお返しします。
7. 素材: 【共有フォルダのリンク】に置いています(見るだけの権限です)。
8. 表記: 社名・製品名の書き方は、添付の一覧のとおりです。
9. 出してはいけないもの: 【取引先の社名・質問した方のお名前 など】。添付の一覧をご確認ください。
10. データ: 納品から【〇〇】日後に削除し、ご連絡をいただけますか。
11. 権利: 完成した動画は【YouTube・広告・展示会】で使う予定です。
12. 日程: 1本目は【〇月〇日】までに初稿、【〇月〇日】に公開したいと考えています。

まずは1本お願いし、続けるかを決めたいと考えています。
お見積もりと、ご都合をお聞かせください。

5つのことは、どこに頼む場合でも変わりません。先に決めておくほど、依頼先とのやりとりは短くなり、社内の手間も減ります。まずはこの12項目を社内で回して、空いている所を埋めるところから始めてみてください。

よくある質問

修正は、何回まで頼めるものですか?

依頼先によって違います。回数を決めて料金に含めているところもあれば、修正の量で料金が変わるところもあります。見積もりの段階で「何回まで含まれるか」「どんな修正から追加の料金になるか」を確かめておくと安心です。

素材は、どうやって渡せばよいですか?

社内で使っている共有フォルダ(Google ドライブ・Box・OneDrive など)のリンクで渡すのが一般的です。見るだけの権限にし、期限をつけておくと、作業が終わったあとの心配が減ります。

秘密保持契約は、必ず結んだほうがよいですか?

社外に出していない録画を預ける場合は、結んでおくと安心です。社内の決まりで必要かどうかを確かめ、どちらのひな形を使うかを依頼先と相談してください。

1本だけでも頼めますか?

1本から頼める依頼先もあります。最初の1本で、仕上がりだけでなく、社内の確認にかかった時間や連絡のしかたも確かめてから、続けるかを決めるのがおすすめです。

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映作堂について

映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。この記事で書いた準備のうち、出してはいけないものは最初のヒアリングシートでうかがい、表記の一覧(用語集)は初回に映作堂がお作りします。初稿には「ここだけ見てください」の確認メモを添えます。進め方とデータの扱いは、進め方と品質のルールと秘密保持とデータの取り扱いにまとめています。

依頼文の12項目がまだ埋まっていなくても大丈夫です。分かる所だけお送りいただければ、残りは一緒に決めていきます。