当日は司会と配信で手いっぱい。終わったらお礼のメールを送り、録画はひとまずアーカイブとして公開する。次の回の準備が始まると、1時間の録画を見直す時間は、なかなか取れません。「録画を二次利用しましょう」と言われても、何から手を付けて、どこまで作ればよいのかで迷う方は多いはずです。
使い道は、数え始めるといくらでも増えます。ただ、毎回続けられなければ、1回きりで終わってしまいます。この記事では、映作堂が提案する「10本」の分け方を、録画のどこを何に使うかを示した「素材の地図」として紹介します。本数は、自社の人数や目的に合わせて増やしたり減らしたりしてください。
- 本編1本・章(チャプター)つき
- テーマ別の短い動画3本・3〜5分
- 縦型のショート3本・1分前後
- 質疑・要約・メモ3本・文と短い動画
ウェビナーの録画は、1回見られて終わりになりやすい
ウェビナーの二次利用とは、開催したときの録画を、アーカイブ以外の形にも作り直して使うことです。「再利用」「切り抜き」と呼ばれることもあります。2026年の調査では、ウェビナーを実施または検討している企業のうち64%がオンデマンド配信を活用していると答えていて、録画を出すのは当たり前になってきました。
出典: 「2026年最新版 ウェビナーに関するアンケート調査結果」株式会社ネクプロ・OTSUANGI株式会社、2026年4月21日発表(調査 2026年2月10日〜3月10日、ウェビナーを実施または検討中の企業102名) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000067303.html
見る側も、録画をよく見ています。別の調査で視聴者の側に聞くと、アーカイブを見たことがある人は93.4%、アーカイブがあることが申込みの決め手になったことがある人は69.2%でした。
出典: 「ウェビナーに関するアンケート」株式会社シャノン・株式会社Innovation X Solutions、2025年12月24日発表(2025年10月調査) https://www.shanon.co.jp/corporation/news/2025/12/24.html
一方で、BtoB企業の動画活用についての調査では、制作したことのある動画として「ウェビナー・セミナー動画」を挙げた人は8.7%でした。聞いた相手も聞き方も違うので言い切れませんが、録画を出すところまでは進んでいても、動画として作り直すところまでは手が回っていない会社もあるのかもしれません。
出典: 「BtoB企業の営業・マーケティングにおける動画活用の実態調査」株式会社Lumii(調査 2025年1月16〜22日、402名)。ページへのリンクは、記事の最後の「この記事で参考にしたページ」にあります。
手つかずになりやすいのは「見たい所だけ見たい人」
1時間のアーカイブは、時間をとって最初から見てくれる人には届きます。けれど、「気になるテーマの所だけ知りたい」「移動中にスマートフォンで少しだけ見たい」という人には、1時間は長すぎます。来られなかった申込者も、多くはこちらに近いはずです。二次利用は、同じ中身を、見る人の時間に合わせた長さに分け直すことだと考えると、何を作ればよいかが見えてきます。
1時間の録画から作れる10本:二次利用の「素材の地図」
ここからは、1時間のウェビナーの録画を例に、どこを何に使うかを決めていきます。映作堂では、次の10本を目安として提案しています。調査で決まった数ではなく、少ない人数でも毎回続けられる量として考えた数です。
ウェビナーを1〜2人体制で実施している企業は76.5%という調査もあります。人が少ない前提で、映作堂では使い道を何十個と並べるより、毎回決まった10本に絞ることをおすすめしています。
出典: 「2025年最新版 ウェビナーに関するアンケート調査結果」株式会社ネクプロ・OTSUANGI株式会社、2025年5月7日発表(調査 2025年2月、ウェビナーを実施または検討中の企業の担当者146名) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000067303.html
- 0:00〜5:00 あいさつ・会社の紹介本編では短くまとめる使う先: 本編の冒頭(開始前の待ち時間は切る)
- 5:00〜20:00 テーマ1いちばん伝えたい話使う先: 本編の章1/テーマ別の短い動画1/縦型のショート1
- 20:00〜35:00 テーマ2具体的なやり方使う先: 本編の章2/テーマ別の短い動画2/縦型のショート2
- 35:00〜45:00 テーマ3(事例)数字や事例が出る所使う先: 本編の章3/テーマ別の短い動画3/縦型のショート3
- 45:00〜58:00 質疑応答参加者の質問への答え使う先: 本編の章4/質疑のまとめ
- 58:00〜60:00 まとめ・次回のお知らせ全体の要点使う先: 来られなかった方への要約/記事やメールに使う要点メモ
時間の区切りは、ウェビナーごとに変わります。大事なのは、録画を見る前に「この区間は、何の素材になるか」を書き込む地図を1枚作っておくことです。次の回からは、同じ地図を写して時刻だけを書き換えれば使えます。
本編(1本):章を付けて、見たい所から見られる形に
録画そのものから、開始前の待ち時間や音声の確認のやりとりを切り、見やすく整えたものです。YouTube に出す場合は、説明欄に時刻を書くと章(チャプター)が付きます。YouTube のヘルプでは、最初の章を00:00から始め、3つ以上を時間の順に並べ、1つの章を10秒以上にすることになっています。図2の例なら、あいさつ(00:00)・テーマ1〜3・質疑で、章を5つ付けられます。
出典: YouTube ヘルプ「動画のチャプター」 https://support.google.com/youtube/answer/9884579?hl=ja
テーマ別の短い動画(3本):1つのテーマを3〜5分で
本編の章を、それぞれ1本の動画として切り出したものです。1本で1つの話が完結するので、「このテーマだけ知りたい」人に送りやすくなります。題名は、ウェビナーの題名ではなく、その章で答えている問いにすると、あとから探す人にも見つけてもらいやすくなります。
縦型のショート動画(3本):テーマごとに1分前後
各テーマから、いちばん言い切っている所を1分前後で切り出し、スマートフォンで見やすい縦型にしたものです。YouTube のショートは、縦長か正方形で最長3分まで出せます(2024年10月15日以降に公開したもの)。とはいえ、長くすると本編との違いが薄れるので、まずは1分前後を目安にするのがおすすめです。
出典: YouTube 公式ブログ(日本)、2024年10月15日 https://blog.youtube/intl/ja-jp/news-and-events/tall-updates-coming-to-shorts/
質疑・要約・メモ(3本):文章と短い動画で
残りの3本は、映像よりも「中身を短く伝える」ためのものです。
- 質疑のまとめ(1本): よく出た質問と答えを、2〜4分ほどの動画にまとめる。質問した方のお名前は出さない
- 来られなかった方への要約(1本): 3行ほどの要約に、本編の公開日の予告を添えた文。お礼のメールにそのまま使う
- 要点メモ(1本): 話の要点・出てきた数字・よかった言い回しを箇条書きにしたもの。記事・メールマガジン・営業資料の下書きに使う
人の手が足りない回は、まず本編と縦型のショート3本の4本から始めても十分です。慣れてきたら、テーマ別の短い動画と文章を足していきましょう。
ウェビナーのどの場面を切り抜くか:選び方のチェックリスト
地図で区間を決めたら、次は、短い動画にする場面を選びます。ここでいちばん迷うのが「どこを切り抜けばよいか」です。録画を見ながら、次の項目に当てはまる場面に印を付けてください。当てはまる数が多い場面から使っていくと、選び方がぶれません。
- 結論を1文で言い切っている(「〇〇は3つで決まります」など)
- 数字や事例が出てくる
- 参加者の質問に答えている(ほかの人も同じことを知りたいはず)
- 前後を見なくても、その場面だけで話が分かる
- 話し手が「ここが大事です」「一番お伝えしたいのは」など、強調する言葉を使っている
- 画面のスライドの文字が、小さい画面でも読める(読めない場合は、文字を大きく出し直せる)
- 社外秘の資料・まだ発表していない情報が映っていない、話していない
- 質問した方や参加者のお名前・お顔が映っていない(映っていても、隠せる)
7と8は、当てはまらなければほかの項目がそろっていても使わないか、隠してから使います。反対に、1〜5は全部そろわなくてかまいません。「4. その場面だけで話が分かる」がそろわないときは、前の一言だけを足すと分かるようになることもあります。
選んだ場面を書き出すときは、「再生時間・中身・何に使うか」の3つをそろえておくと、社内の人にも、外に頼む場合にも、そのまま渡せます。
当日に印を付けておくと、後の見直しが短くなる
終わった後に1時間の録画を最初から見直すのは、思った以上に時間がかかります。そこでおすすめなのが、開催中に、司会や記録の担当者が「ここは使える」と思った時刻をメモしておくことです。当日の印があれば、見直すのはその前後だけで済みます。
メモは、時計の時刻で書けば十分です。1行目に録画を始めた時刻を書いておけば、あとで録画の中の再生時間に直せます。印は、チェックリストの中でも当日に気づきやすい5つ(結論・数字・事例・質問・注意)に絞っておくと迷いません。
そのまま使える当日の時刻メモ
ウェビナー当日の時刻メモ 回の名前: 【〇〇セミナー 第〇回】 日付: 【〇月〇日】 記録する人: 【お名前】 録画を始めた時刻: 【14:00】 印の種類: 結論/数字/事例/質問/注意(使わない) 時刻 | 印 | 一言 【14:12】| 結論 | 【「〇〇は3つで決まる」と言い切った】 【14:24】| 数字 | 【導入の前と後の数字が出た】 【14:38】| 事例 | 【〇〇業のお客さまの話。社名は出していない】 【14:47】| 質問 | 【「費用はどれくらい?」への答え。質問した方の名前を読み上げた → 名前は切る】 【14:52】| 注意 | 【まだ発表していない予定に触れた → 使わない】 使いたい素材: 【本編・テーマ別3本・縦型3本・質疑・要約・メモ】
「注意」の印は、使わない場面の記録です。あとで切り抜くときの見落としを防げるので、使える場面と同じくらい大切にしてください。
出す順番:当日から4週間の予定
10本を一度に出す必要はありません。むしろ、少しずつ時間をずらして出すほうが、1回のウェビナーの話題を長く届けられます。おすすめの順番は次のとおりです。
- 当日録画と時刻メモを受け取る
- 翌日要約(本編は公開日を予告)
- 1〜2週目本編・テーマ別の短い動画3本・質疑
- 2〜4週目縦型を週1本・次回の告知に
翌日:来られなかった方へ、まず要約を
申込んだのに来られなかった方は、内容への関心はあった方です。お礼のメールに3行の要約を添え、「本編は〇日に公開します」と公開日を予告して送りましょう。要約は当日の時刻メモからすぐに書けるので、翌日に間に合います。関心が冷めないうちに、まず中身の要点を届けるのがねらいです。
1〜2週目:本編を公開し、テーマ別の短い動画を商談や問い合わせの前に
予告した日に本編を公開し、要約を送った方にもリンクをお知らせします。テーマ別の短い動画は、営業の場面でも使えます。BtoB企業の営業・マーケティングでの動画活用についての調査では、動画の効果を最も実感した場面として「商談」が34.3%挙がっていました(リード獲得は25.6%、活用支援は20.1%)。商談の前に「当日お話しした内容のうち、ご関心のありそうな所です」と3〜5分の動画を1本送ると、話が早く進むことがあります。
出典: 「BtoB企業の営業・マーケティングにおける動画活用の実態調査」株式会社Lumii(調査 2025年1月16〜22日、402名)。ページへのリンクは、記事の最後の「この記事で参考にしたページ」にあります。
2〜4週目:縦型を週1本、最後は次回の告知に
縦型のショートは、SNS や YouTube に週1本ずつ出していきます。3本目を出すころには、次の回の告知が始まっているはずです。最後のショートの説明欄や投稿文に、次回の申込みページを添えると、前回の録画が、次の回の集客の入り口になります。
二次利用の前に決めること:許諾・映り込み・社外秘
録画を作り直して出す前に、次の4つを決めておきましょう。特に、ウェビナーの「録画をすること」に同意をもらっていても、切り抜いて別の場所で使うことまで同意をもらっているとは限りません。
- 登壇者の許諾(どの素材に、どこで、いつまで使うか)
- 参加者の映り込み(お名前・お顔・質問の文)
- 社外秘(資料・未発表の情報・取引先の社名)
- 出す先(社外に公開/申込者だけ/社内だけ)
登壇者の許諾は、依頼の時点で使い道を書いておく
社外の方に登壇をお願いするときは、依頼の段階で「録画は、本編のほか、短い動画や縦型の動画にして、自社のサイトや SNS で使います」と、使い道と期間を書いておくと、あとで確かめ直す手間が減ります。社内の登壇者でも、短く切り抜くと前後の話が抜けて伝わり方が変わることがあるので、公開の前に一度見てもらうと安心です。
参加者の映り込みと社外秘は、地図の段階で外しておく
質疑応答の時間には、質問した方のお名前やお顔、画面の共有で映った資料などが入りやすくなります。2章の地図と4章のメモで「注意」の印を付けた場面は、最初から素材にしないのが確実です。何が映りやすいかと、録画データを外に渡すときの決めごとは、動画編集を依頼する前に決める5つのことの4章・5章で図にしてまとめています。
許諾や権利の判断で迷うときは、専門家に
登壇者や参加者の映像・お名前の扱い、講演の内容やスライドを別の形で使うことについては、契約の内容や相手との取り決めによって考え方が変わります。この記事は一般的な進め方の紹介です。判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
まとめ: 次の回からできること
ウェビナーの二次利用は、使い道を増やすことより、毎回同じ形で続けることが大切です。1時間の録画を、本編・テーマ別の短い動画・縦型のショート・質疑と要約とメモの10本ほどに分け、出す順番も決めておけば、1回のウェビナーが4週間ほど働いてくれます。次の回では、まず次の3つから始めてみてください。
- 2章の「素材の地図」を写して、どの区間を何に使うかを書き込んでおく
- 当日は、4章の時刻メモで「使える所」と「使わない所」に印を付ける
- 翌日に、来られなかった方へ要約を送り、本編の公開日を予告する
よくある質問
最初から10本作らないといけませんか?
いいえ。手が足りない回は、本編1本と縦型のショート3本の4本から始めても十分です。10本は、続けられるようになったときの目安として考えてください。どの素材がよく見られたかを見ながら、増やす所と減らす所を決めていくのがおすすめです。
縦型にすると、スライドの文字が読めなくなりませんか?
そのままだと、小さくて読めないことが多いです。大事な文字だけを大きく出し直すか、スライドの説明が中心の場面は縦型に選ばず、話し手が結論を言い切っている場面を選ぶと見やすくなります。3章のチェックリストの6番で確かめてください。
登壇者が社外の方のときは、どうすればよいですか?
登壇をお願いする時点で、録画をどの素材に、どこで、いつまで使うかを書いてお伝えし、了承をいただいておくと安心です。すでに開催した回の録画を使うときは、使う前に改めて確かめましょう。取り決めの内容で迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
社内だけで作れますか?
作れます。地図・チェックリスト・時刻メモがあれば、だれが作っても同じ形になりやすいはずです。手が足りないときは、切り出しや字幕など一部だけを外に頼む形もあります。どこまでを社内で行い、どこを任せるかは、ウェビナーの外注はどこまで出す?作業20個の分担表で分け方をまとめています。
この記事で参考にしたページ
1章の8.7%と5章の「商談」34.3%は、次のページで確かめました(2026年10月23日に映作堂で確認)。
映作堂について
映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、伝わる動画に仕上げます。ウェビナー録画の月額プランでは、録画1本ごとにアーカイブ版1本・ショート6本・要約文1本・チャプター・サムネイル1枚を、録画のお受け取りから7営業日で初稿としてお届けします(この記事の10本の分け方は、社内で作るときの提案です。サービスの内訳は、上のとおりです)。開催までの進め方は、今のままで大丈夫です。
お任せいただく場合は、翌日の要約は社内でお送りいただき、本編の公開日は初稿の日数に合わせて予告してください。当日の時刻メモがあれば、録画と一緒にお送りください。まずは1本、お試しください。