「先週のセミナーの録画を、編集して申込者に配りたい。でも、いくらかかるのか見当がつかない」。料金を調べると、出てくるのはカメラマンの人数や機材の話ばかりで、録画がもう手元にある場合の値段がなかなか見つかりません。見積もりを頼もうにも、何を伝えればよいのか迷ってしまいます。
- 編集だけの幅を知る撮影の費用とは分ける
- 作るものを決める全編・短く・切り出す
- 1枚のシートに書く5つの情報
- 見積もりを確かめる含む・含まない
セミナー動画の編集料金:数万円〜15万円前後とするページが多い(上限なしのページも)
セミナー動画の編集を外注するときの費用(料金)は、3つのサイトの解説記事4ページの目安を並べると、下は2万円ほどから、上は15万円前後とするページが多く、なかには「15万円〜」と上限を書いていないページもあります。ここでいう値段は、Zoomなどで録った録画や、会場で撮った映像がすでにある前提の、編集の部分だけです。
| 出どころ | セミナー動画の編集の目安 |
|---|---|
| 解説記事A | 2万〜8万円(撮影費とは別の、編集費の目安) |
| 解説記事B | 4万円〜15万円〜(上限の記載なし) |
| 解説記事C | 基本の編集で3万〜8万円、撮影は自社で行い編集だけ頼む場合で5万〜15万円 |
| 解説記事D | 8万〜15万円前後が中心(カット・音声の調整・スライドの合成など。複数のカメラの切り替えは上限寄り) |
どれも算出方法は書かれていないため、幅としてだけ見てください。
実際に会社へ頼んだ例(1件)
ある団体のセミナー動画で、約60分〜150分の録画の編集費が14万円(税抜)でした。撮影費と車両費を合わせた合計は30万円で、編集はその一部です。1件だけの例なので相場とは言えませんが、長い録画を会社が編集するときの手がかりになります。
出典(A〜Dの金額は税込・税抜の表記なし。A・Dは同じサイトの別のページ): A: PRONIアイミツ「セミナー撮影の平均費用と料金相場」 B: 比較ビズまとめ「セミナー撮影の費用相場は?」 C: @SOHO「セミナー・研修動画の編集費用」 D: PRONIアイミツ「動画編集の費用相場は?」/発注の例: Dと同じページの発注事例。リンクは記事の最後の「この記事で参考にしたページ」にあります。
「撮影の費用」と「編集の費用」は分けて読む
「セミナー動画 料金」で調べて出てくる金額の多くは、カメラマンの派遣・撮影・編集・DVDなどの納品までをまとめたセットの値段です。録画がもう手元にある会社が、その合計を見て「編集にこんなにかかるのか」と驚く必要はありません。見るのは編集の行だけで大丈夫です。
同じように、編集した動画をどこに置いて配信するか(動画の置き場所や配信サービスの費用)も、編集の値段とは別のお金です。見積もりを社内で通すときは、「撮影」「編集」「配信」を分けて書いておくと、どこにいくらかかるのかが説明しやすくなります。
また、ウェビナーの集客や当日の運営まで含めた「運営代行」も、録画の編集とは別の仕事です。どこまでを外に出すかの分け方は、ウェビナーの外注はどこまで出す?作業20個の分担表にまとめています。
値段は「長さ」だけでなく「何を作るか」で大きく変わる
「90分の録画だから高くなりそう」と思われがちですが、値段は録画の長さだけでなく、その録画から何を作るかで大きく変わります。同じ90分の録画でも、作るものによって作業の中身がまったく違います。
| 作るもの | 作業の中心 | 手間が増えやすい所 |
|---|---|---|
| 全編を整える | 開始前の待ち時間・言い直し・長い間を切り、字幕や見出しを入れて、全体を見やすくする | 字幕を全文にするか。録画が長いほど、聞いて確かめる時間が増える |
| 短く詰める | 90分を30分などにまとめ直す。残す話と削る話を選ぶ | どこを残すかの判断と、話のつながりを自然に整える作業 |
| 一部を切り出す | テーマごとに数分の動画を何本か作る | 本数。1本ずつ、始まりと終わりを整える必要がある |
「全編を整える」か「短く詰める」かを決める材料として、見る側の好みも参考になります。業務でウェビナーを見たことがある会社員などへの調査では、企業のウェビナーの最適な長さについて、9割以上が「1時間以内」と答え、45分以内という答えが約6割でした。
出典: 「企業ウェビナーの視聴状況」に関する調査、株式会社Jストリーム、2024年3月19日発表(2024年1月、業務でウェビナーを見たことがある20〜59歳の会社員・公務員550人、インターネット調査)。ページへのリンクは、記事の最後の「この記事で参考にしたページ」にあります。
これは見る側の好みの数字で、編集の値段の数字ではありません。ただ、90分の録画を申込者に配るなら、「全編をそのまま整える」のか「45分ほどに詰める」のかを先に決めておくと、見積もりの前提がはっきりします。
見積もりの前にそろえる5つの情報
セミナーの録画の編集を依頼するとき、見積もりに必要なのは、次の5つの情報です。どれも録画を見ながら、ご担当者さまが書き出せることです。
1. 録画の長さと形
何分の録画か、Zoomなどの録画か会場のカメラか、ファイルやカメラがいくつあるかを書きます。ファイルが分かれていたり、カメラが2台以上あったりすると、つなぎ合わせる作業が増えるためです。質疑応答を長さに含めるかも、一言添えておくと確実です。
2. 話す人と音
講師・司会・質問した方など、話す人の数と、質疑応答があるかを書きます。話す人が多いほど、字幕に名前を入れたり、声の大きさをそろえたりする手間が増えます。音が聞き取りにくい所があれば、だいたいの時間を書いておくと、見積もりのずれが減ります。
3. 画面・スライド
スライドを画面で共有していたか、スライドのデータを渡せるかを書きます。録画の画面が小さかったりぼやけていたりするとき、元のスライドがあれば、見やすい画像に差し替えられます。データがないと、この手当てができないこともあります。
4. 作るもの
3章の「全編を整える・短く詰める・一部を切り出す」のどれか(組み合わせも可)と、字幕・見出し・冒頭のタイトルが要るかを書きます。5つのうち、作業の量がいちばん変わりやすいのがここです。
5. 出す先と期限
社内だけで見るのか、申込者だけに配るのか、だれでも見られる所に出すのかを書きます。外に出すほど、映してはいけないもの(質問した方のお名前・社外秘の資料など)を隠す作業が増えます。ほしい日も、初稿と公開の2つを書いておきます。何が映りやすいかと、データの預け方は、動画編集を依頼する前に決める5つのことの4章・5章で図にしています。
見積もり用の1枚シート(記入例つき)
5つの情報は、録画1本につき1枚のシートにまとめると、依頼先に伝えやすくなります。まずは記入例です。架空の90分のウェビナーで書いています。
- 長さ
- 約90分(質疑応答の約15分を含む)
- 録り方
- Zoomの録画・1ファイル
- 話す人
- 講師1人・司会1人。質疑応答あり
- 音
- 質疑応答で、参加者の声が小さい所がある(80分ごろ)
- 共有
- あり(40枚ほど)
- データ
- PDFで渡せる
- 形
- 全編を整える(待ち時間と言い直しを切る)
- 字幕・見出し
- 字幕は要点だけ。章の見出しを入れたい
- 出す先
- 申込者だけ(URLを知っている人だけが見られる設定)
- ほしい日
- 初稿は開催から10日以内、公開は2週間以内
- 映さない
- 質問した方のお名前・チャットの画面
空のシートは、下のボタンでコピーできます。かっこの所を埋めて、見積もり依頼のメールに貼るか、ファイルにして添付してください。
そのまま使える見積もり用シート(録画1本につき1枚)
セミナー動画の編集 見積もり用シート 録画の名前: 【〇〇セミナー(〇月〇日開催)】 1. 録画の長さと形 ・長さ: 約【〇〇】分(質疑応答を【含む/含まない】) ・録り方: 【Zoomなどの録画/会場のカメラ】 ・ファイルの数: 【〇】本(カメラ【〇】台) 2. 話す人と音 ・話す人: 【〇】人(司会: 【あり/なし】、質疑応答: 【あり/なし】) ・聞き取りにくい所: 【なし/あり(〇分ごろ・どんな音か)】 3. 画面・スライド ・スライドの共有: 【あり/なし】 ・スライドのデータ: 【渡せる/渡せない】 4. 作るもの ・形: 【全編を整える/〇分に短く詰める/〇本切り出す(1本〇分ほど)】 ・字幕: 【全文/要点だけ/なし】 ・見出し・冒頭のタイトル: 【要る/要らない】 5. 出す先と期限 ・出す先: 【社内だけ/申込者だけ/だれでも見られる所】 ・ほしい日: 初稿【〇月〇日】、公開【〇月〇日】 ・映してはいけないもの: 【質問した方のお名前・社外秘の資料 など】 連絡欄 ・ご担当: 【会社名・お名前】 ・録画の渡し方: 【共有フォルダのリンク(見るだけの権限)】 ・お願い: 料金に含む作業と含まない作業を、分けて書いていただけると助かります。
メールの本文そのものは、動画編集の依頼相場の5章に、見積もり依頼メールのひな形を載せています。メールで「どんな動画でも共通の条件」を伝え、このシートで「この録画の中身」を伝える、という使い分けです。
セミナー録画の見積もりで確かめる6つの点(長さの上限・質疑応答・ぼかし)
見積もりが届いたら、金額を見る前に、次の6つを確かめます。複数の依頼先に同じシートを送っていれば、金額の差がどこから来ているのかを読めるようになります。
- シートの「作るもの」(全編・短く・切り出す)が、そのとおりに見積もりに入っているか
- 字幕・見出し・スライドの差し替え・ぼかしが、料金に含まれているか、別の料金か
- 録画の長さの上限(質疑応答を含むか)と、超えたときの料金
- 確認と修正の回数と、どんな直しから追加の料金になるか
- 預けた録画データの保管の期間と、削除の連絡
- 税込か税抜か
このほか、できた動画の権利や支払いの時期の確かめ方は、動画編集の依頼相場の6章にまとめています。
個人(従業員のいないフリーランス)に頼む場合は、仕事の内容・報酬・支払期日をメールなどで示す決まりがあります(くわしくは動画編集の依頼相場の6章)。判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
出典: フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)、公正取引委員会 特設サイト https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2026/index.html
毎回のセミナーは、同じシートを書き換えて頼む
セミナーやウェビナーは、毎月や毎回、同じような形で続くことが多いものです。最初は1回分の録画で仕上がりを確かめ、続けるなら、1回目のシートを書き換えて使い回すのがおすすめです。
2回目からは、変わった所だけを書き換えれば済みます。講師が同じでスライドの形もそろっていれば、書き換えるのは「長さ」と「ほしい日」くらいかもしれません。前回と違う所(話す人が増えた、だれでも見られる所に出す、など)は、行の頭に印を付けておくと、依頼先がすぐに気づけます。
依頼先にとっても前回と同じ条件で見積もれるため、毎回の金額が読みやすくなり、金額が変わったときも「どの行が変わったからか」をすぐに確かめられます。シートは録画の名前と日付を付けて、社内の共有フォルダに残しておくと、担当者が替わっても同じ形で頼めます。
録画の編集のほかに、開催前の準備や当日の作業まで外に出すかどうかは、ウェビナーの外注はどこまで出す?作業20個の分担表で分け方を、頼む前に社内で決めておくことは、動画編集を依頼する前に決める5つのことでまとめています。
まとめ
セミナー動画の編集料金は、解説記事の目安で下は2万円ほどから、上は15万円前後とするページが多く、上限を書いていないページもあります。どれも根拠は書かれていないため、幅として見るのが安全です。調べて出てくる金額の多くは撮影込みの値段なので、録画が手元にあるなら編集の行だけを見ます。
値段は録画の長さだけでなく、何を作るかで大きく変わります。録画の長さと形・話す人と音・画面とスライド・作るもの・出す先と期限の5つを1枚のシートに書いてから見積もりを頼めば、返ってくる金額の理由が読めるようになります。まずは次の録画1本で、5章のシートを埋めてみてください。
よくある質問
2時間の録画は、1時間の録画の2倍の値段になりますか?
2倍になるとは限りません。録画が長いほど見て確かめる時間は増えますが、「何を作るか」によっても値段は大きく変わります。長さの上限を決めて、それを超えた分だけ料金を足す依頼先もあります。見積もりのときに、質疑応答を含めた長さを伝え、上限と超えたときの料金を確かめてください。
質疑応答の部分も、残したほうがよいですか?
出す先によります。社内や申込者だけに配るなら、質疑応答は役に立つことが多い一方、質問した方のお名前やお顔が入りやすい所でもあります。だれでも見られる所に出すなら、切るか、お名前を出さない形にするのが安心です。シートの「映してはいけないもの」に書いておいてください。
スライドのデータは、渡したほうがよいですか?
渡せるなら、渡しておくのがおすすめです。録画の画面が小さかったりぼやけていたりする所を、見やすい画像に差し替えられます。社外秘のページがあれば、そのページを外したデータか、どのページかを伝えておくと確実です。
録画の音が悪くても、頼めますか?
多くの場合は頼めますが、聞き取りにくさによって、整えられる所と難しい所があります。どのあたりが聞き取りにくいかをシートに書き、見積もりの前に「どこまで整えられるか」を確かめておくと、仕上がりの行き違いを防げます。
この記事で参考にしたページ
1章の編集の目安と発注の例、3章の調査の数字は、次のページで確かめました(2026年10月23日に映作堂で確認)。1章の目安は各ページが公開している数字で、どれも算出方法は書かれていません。1章のA・Dと発注の例は、同じサイトのページです。
PRONIアイミツ『セミナー撮影の平均費用と料金相場』
比較ビズまとめ『セミナー撮影の費用相場は?料金内訳やおすすめの動画・映像制作会社』
@SOHO『セミナー・研修動画の編集費用|長尺収録の料金相場と外注の進め方』
PRONIアイミツ『動画編集の費用相場は?』
株式会社Jストリーム『「企業ウェビナーの視聴状況」に関する調査』(2024年3月19日発表)
映作堂について
映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、伝わる動画に仕上げます。ウェビナー録画の料金のページには、シートの「長さ」にあたる条件(録画1本の長さの上限は質疑応答を含めて数えること、ファイルやカメラが分かれているときは長さを合計すること)と、「作るもの」にあたる、1本に含む作業(アーカイブ版・ショート・要約文・チャプター・サムネイル)を載せています。お問い合わせのときは、この記事のシートをそのまま貼り付けていただけます。まだ埋まっていない所があっても大丈夫です。分かる所だけお送りいただければ、残りは一緒に決めたうえで、料金に含む作業と含まない作業を分けてお見積もりします。