ウェビナーが終わると、手元に1時間ほどの録画が残ります。「せっかくだから公開したい。でも、録画が見られるなら、次からライブに来てくれなくなるのでは」「質問してくれた方のお名前が入っているけれど、そのまま出してよいのか」。そんな迷いから、録画をフォルダに置いたままにしている方もいらっしゃるはずです。
この記事では、録画を「だれに・どこまで・いつまで」見せるかを、目的から順に決める方法をまとめました。上から順に決めていけば、次の回からは迷わずに出せるようになります。
録画の出し方を決める5つの手順
- 目的を決める集める・届ける・商談
- 中身を確かめる質疑応答・社外秘
- 出し方を選ぶ全部・一部・申込者だけ
- 時期と期限いつ案内し、いつまで
- 公開前の確認名前・了解・転送
次の1回で、まず「申込者だけ」から試す
ウェビナーのアーカイブ配信は、出したほうがよい(範囲は選ぶ)
ウェビナーのアーカイブ配信とは、ライブで配信したウェビナーやセミナーの録画を、終わった後にも見られるようにすることです。「録画を公開する」「見逃し配信」「セミナー動画のアーカイブ」と呼ばれることもあります。Zoom などで録った録画も、そのまま出すか、整えてから出すかを選べます。
出したほうがよいと考える理由は、見る側の数字にあります。製品やサービスの選定に関わる人を対象にした2025年の調査では、次のような結果でした。
- ウェビナーのアーカイブを見たことがある: 93.4%
- (上の人のうち)アーカイブがあることが、申込みの決め手になった経験がある: 69.2%(20代では95.0%、40代以下では約8割)
- 一方、主催する企業のうち、アーカイブを配信したことがある: 47.2%
見る側と主催する側では聞いた相手が違うので、単純には比べられません。それでも、見たい人に比べて、出している会社はまだ半分ほどだということは読み取れます。「あとで録画を見られるなら申し込もう」という人にとっては、アーカイブがないこと自体が、申し込まない理由になりえます。
ただし「出したほうがよい」は、「だれにでも、全部を、ずっと」という意味ではありません。録画には、質問してくださった方のお名前や、社外にはまだ出せない話が入っていることもあります。目的に合わせて、見せる範囲と期間を選ぶのが、この記事の答えです。
出典: 「ウェビナーに関するアンケート」株式会社シャノン・株式会社Innovation X Solutions、2025年12月24日発表(2025年10月調査。調査の人数は公表資料に記載なし) https://www.shanon.co.jp/corporation/news/2025/12/24.html
アーカイブ配信とオンデマンド配信の違い
よく似た言葉に「オンデマンド配信」があります。アーカイブ配信はライブで配信したものの録画を後から見せること、オンデマンド配信は、最初から録画で見てもらうつもりで撮った動画を、好きなときに見られるようにすることを指す場合が多いです。ただ、使い分けは会社や記事によってまちまちで、ライブの録画をオンデマンド配信と呼ぶこともあります。社内で言葉をそろえておけば、どちらの呼び方でもかまいません。
「ライブの参加者が減るのでは」への答え
アーカイブを出すかどうかで、よく聞かれる迷いがこれです。録画があると分かっていれば、当日わざわざ時間を空けなくてもよい、と考える人は確かにいるでしょう。
ここは正直にお伝えすると、アーカイブを出したことで、ライブの参加者がどれくらい減るのか(あるいは減らないのか)を数字で示した調査は、見つけられませんでした。ですので「減りません」とは言い切れません。
一方で、もともと録画で見たい人がいることは分かっています。過去1年にウェビナーに参加した20〜50代のビジネスパーソンへの2026年の調査では、ふだんの見方として36.7%が「他の業務をしながら視聴」、30.0%が「アーカイブで倍速視聴」と答えています。録画を出さないからといって、こうした人がライブに来てくれるとは限らないでしょう。だとすれば、録画を出すかどうかより、「ライブに来る理由」を残しておけるかを考えるほうが、手を打ちやすくなります。
出典: ウェビナーの参加実態に関する調査(株式会社経営参謀、2026年5月21日発表。20〜50代のビジネスパーソン1,003人、2026年4月30日〜5月1日、インターネット調査) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000016218.html
工夫の3と4は、次の章で説明する「申込者だけ」「一部公開」という出し方のことです。
- 当日だけのものを残す
- 録画の案内は、終わった後に
- 申込者だけ・期限つきで出す
- 全編ではなく、要点だけを公開
1. 当日だけのものを残す
質疑応答で、自分の質問に直接答えてもらえる。当日の参加者だけに資料を配る。個別相談の申込みを当日だけ受け付ける。こうした「その場にいた人だけが得をするもの」があれば、録画があってもライブに来る理由になります。告知の文にも、ここをはっきり書いておきましょう。
2. 録画の案内は、終わった後に出す
告知の段階で「録画もあります」と大きく書くと、最初から録画で見るつもりの人が増えるかもしれません。録画のことは、終わった後に申込者へ案内する形にすると、当日の参加をうながしたまま、来られなかった人にも届けられます。
3. 申込者だけ・期限つきで出す
「申し込んだ人が、1週間だけ見られる」という出し方なら、録画が目当ての人も、まず申し込んでくれます。申込みの数が見えるので、だれに次の連絡をすればよいかも分かります。
4. 全編ではなく、要点だけを公開する
だれでも見られる所には、5分ほどの要点だけを置き、全編は申込み後に見られるようにします。中身の良さは伝わり、続きを見たい人は申し込む、という流れを作れます。
録画の出し方は3つ:全部公開・一部公開・申込者だけ
ここからは、具体的な出し方です。社外に向けた出し方は、大きく3つに分けられます。公開しないで、社内の研修などに使うという選び方もあります。
- 全部公開だれでも見られる。名前を知ってもらう
- 一部公開要点だけ公開し、全編は申込み後に
- 申込者だけ申込者にURLを送る。期限つき
- 社内だけ公開しない。研修などに使う
全部公開(だれでも見られる)
自社のサイトや YouTube などに、だれでも見られる形で置きます。向く目的は、名前を知ってもらい、新しい人を集めることです。検索や紹介から、ウェビナーを知らなかった人にも届きます。気をつけたいのは、だれが見るか分からないことです。質疑応答や社外秘の話は外し、見やすく整えたものだけを出しましょう。
一部公開(要点だけを公開し、全編は申込み後)
5分ほどの要点や前半だけをだれでも見られる所に置き、全編は申し込んだ人だけが見られるようにします。向く目的は、集めながら申込みにつなげることです。気をつけたいのは、切り出した部分だけで話が分かるかどうか。途中から始まって意味が通じない切り方は避けます。
録画から要点を切り出す作り方は、ウェビナーの二次利用で紹介しています。
申込者だけ(URLを送る・期限つき)
申し込んだ人に、見るためのURLを送ります。向く目的は、来られなかった人に届けることと、商談につなげることです。だれに送ったかが分かっているので、次の連絡をしやすくなります。だれが見たかまで知りたいときは、視聴の記録が残る置き場所を選びます。気をつけたいのは、URLが転送されること。期限をつけ、転送しないでほしい旨を案内に書いておきます。
来られなかった人へ送るメールの文面は、ウェビナー集客の前に:参加率の平均と、来なかった人に録画で届ける方法にひな形を載せています。
目的から選ぶ:アーカイブ配信の判断の表
3つのどれにするかは、「この録画で、いちばん何をしたいか」で決まります。目的ごとの向き・不向きを表にしました(◎とても向く/○向く/△あまり向かない)。
| 出し方 | 新しい人を集める | 来られなかった人に届ける | 商談につなげる |
|---|---|---|---|
| 全部公開 | ◎ だれにでも届く | ○ 届くが、だれが見たかは分からない | △ 見た人に連絡できない |
| 一部公開 | ◎ 要点で中身が伝わり、続きを見たい人が申し込む | ○ 全編は申込み後に見られる | ○ 申し込んだ人に連絡できる |
| 申込者だけ | △ 申込者の外には広がらない | ◎ 申込者に確実に届く | ◎ 送った相手が分かり、次の連絡をしやすい |
迷ったら、いちばんの目的の列で◎が付いた出し方を選び、次の「分かれ目」で中身を確かめてください。
分かれ目は「質疑応答や社外秘が入っているか」
目的で選んだ後に、もう1つ確かめたいのが録画の中身です。質疑応答で質問した方のお名前や会社名、画面に映った社内の資料、まだ発表していない数字などが入っていないかを見ます。
- 入っていない: 目的で選んだ出し方のまま進めてかまいません
- 入っている: 編集で外してから出すか、外さない場合は「申込者だけ」にとどめます。全部公開・一部公開にするなら、外してからにしましょう
何を外すかは、動画編集を依頼する前に決める5つのことの4章「出してはいけないもの」に、ウェビナーの画面で映りやすい所を図でまとめています。
録画を公開する時期と、期限の決め方
出し方が決まったら、「いつ案内して、いつまで見られるようにするか」を決めます。時間の流れに沿って並べると、次のとおりです。
- 告知のとき申込みページ・告知の文決めること: 当日だけのもの(質疑応答・資料・相談の受付)をはっきり書く/録画を配信する予定があることは、申込みページに小さく知らせる
- 当日ウェビナーの配信決めること: 冒頭で「録画している」ことを伝える/質問のお名前を読み上げるかどうか
- 終わった後申込者への案内決めること: 録画を案内する日(例: 編集を終えて数日以内)/申込者だけか、要点も公開するか
- 期限が来たら公開を止める・残す決めること: 期限の日と、止める担当者/全部公開に切り替えるかどうか
期限に「何日が正解」という決まりはありません。目的から決めるのがおすすめです。
- 申込者だけ: 来られなかった人に「早めに見てもらう」ためなら、短めに区切ると見てもらいやすくなります。期限があるから、後回しにされにくいのです
- 一部公開: 要点は長く置き、全編は申込み後の一定期間にする、と分けて考えます
- 全部公開: 内容が古くならないものなら、期限なしでもかまいません。料金や製品の仕様など、変わりやすい話が入っているなら、見直す日を決めておきます
なお、配信に使うツールによっては、録画の保存期間が初めから決まっている場合があります。気づいたら見られなくなっていた、とならないよう、使っているツールの設定も確かめておきましょう。録画の設定と保存先は、ウェビナー録画の保存先と設定の記事にまとめています。
録画を公開する前に確かめること(チェックリスト)
どの出し方でも、公開の前に次の項目を確かめておくと安心です。印刷して、毎回の確認に使ってください。
- 質疑応答で質問した方のお名前・会社名が、声や字幕、チャットの画面に出ていないか
- 画面に映った社内の資料・メール・取引先の社名を外したか
- まだ発表していない数字・製品・予定の話が入っていないか
- 登壇した人に、公開する範囲(全部公開・一部公開・申込者だけ)と期間を伝え、了解をもらったか。切り出しや広告に使う予定があるなら、そこまで含めて了解をもらったか
- 申込みページや当日の冒頭で、録画して配信することを参加者に知らせていたか
- 申込者だけに送る場合、期限と「転送しないでください」を案内に書いたか
- 期限の日に公開を止める担当者と、その後の録画の保管・削除の担当者を決めたか
データの保管や削除、できた動画を使ってよい範囲の決め方は、動画編集を依頼する前に決める5つのことの5章にまとめています。
法律の判断は、専門家に
映った方の肖像や、登壇者の話・資料の権利をどう扱うかは、録画の中身や契約によって変わります。判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
まずは次の1回を「申込者だけ」で試す
3つの出し方のうち、いちばん始めやすいのは「申込者だけ・期限つき」です。見る人が申込者に限られるので、公開の範囲で失敗しにくく、だれに届けたかも分かります。
- 次の回の告知に、当日だけのもの(質疑応答・資料・相談の受付)を書く
- 終わった後、来られなかった人を含む申込者に、期限つきで録画を案内する
- (記録が取れるなら)何人が見たか、見た人から問い合わせや相談があったかを確かめる
- 反応を見て、要点の一部公開や全部公開へ広げるかを決める
録画を出し始めると、「録画の後」の作業が毎回くり返されます。編集や要点の切り出しを社内で回しきれないときは、その部分だけ外に頼む方法もあります。どこを社内に残し、どこを任せるかはウェビナーの外注はどこまで出す?作業20個の分担表で、編集を頼むときの値段の決まり方は動画編集の依頼相場:1本の値段が変わる6つの条件で整理しています。
アーカイブ配信の全体でいくら見ておくかは、アーカイブ配信の料金:配信の費用と編集の費用を分ける予算シートつきで書き出せます。
公開する前に録画をどう直すかは、ウェビナーの動画編集:冒頭で離れる録画の直し方にまとめています。
まとめ
ウェビナーの録画は、基本的にはアーカイブ配信したほうがよい、というのがこの記事の答えです。見る側の多くがアーカイブを見ており、申込みの決め手にもなっています。ただし、出し方は1つではありません。
- 新しい人を集めたいなら「全部公開」、集めながら申込みにつなげたいなら「一部公開」、来られなかった人に届けて商談につなげたいなら「申込者だけ」
- 質疑応答や社外秘が入っているなら、外してから出すか、申込者だけにとどめる
- 「参加者が減る」が心配なら、当日だけのものを残し、録画の案内は終わった後に出す
- 期限は目的から決め、止める担当者まで決めておく
まずは次の1回、申込者だけ・期限つきで出してみるところから始めてみてください。
よくある質問
アーカイブ配信とオンデマンド配信の違いは何ですか?
アーカイブ配信は、ライブで配信したウェビナーの録画を後から見られるようにすること、オンデマンド配信は、最初から録画で見てもらうつもりで作った動画を、好きなときに見られるようにすることを指す場合が多いです。ただ、呼び方は会社によってまちまちです。社内で言葉をそろえておけば、どちらでもかまいません。
Zoom ウェビナーの録画を、そのまま公開してもいいですか?
公開の前に、質問した方のお名前・チャットの画面・映り込んだ社内の資料などが入っていないかを確かめてください。入っている場合は、編集で外してから公開するか、申込者だけに見せる形にとどめるのがおすすめです。開始前の待ち時間や音声の確認のやりとりも、切っておくと見やすくなります。録画をどの設定で撮り、どこに残すかは、ウェビナー録画の保存先と設定の記事にまとめています。
アーカイブの公開期間は、どのくらいにすればいいですか?
決まった正解はありません。来られなかった申込者に早めに見てもらいたいなら、短めの期限を区切ると、後回しにされにくくなります。だれでも見られる形で長く置くなら、内容が古くなっていないかを見直す日を決めておきましょう。くわしくは5章にまとめています。
録画を公開すると、ウェビナーの申込みや参加者は減りますか?
アーカイブを出したことで参加者がどれくらい減るのかを数字で示した調査は、見つけられませんでした。一方で、アーカイブを見たことがある人のうち、約7割が「アーカイブがあることが申込みの決め手になった」経験があると答えています。当日だけのものを残す、録画の案内は終わった後に出す、といった工夫で、参加の理由を残しながら出すことができます(2章)。
映作堂について
映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、伝わる動画に仕上げます。公開する範囲を広げるほど、質問した方のお名前などを外し、見やすく整える作業が大切になります。ウェビナーでは、アーカイブ版・ショート動画・要約文・目次(チャプター)・サムネイルを、録画のお受け取りから7営業日で初稿としてお届けします。
「出してはいけないもの」の一覧を添えていただければ、そのとおりに外します。まずは1本、お試しください。