録画はもう手元にあるのに、いくら見ておけばいいかが見えない。つまずきやすいのは、「どこに置くか」と「どこまで整えるか」を1つのお金として考えてしまうことです。
アーカイブ配信の料金は「配信の費用+編集の費用」
アーカイブ配信の費用(料金)は、大きく2つに分かれます。録画をどこに置いて、だれに見せるかの「配信の費用」と、録画をどこまで見やすく整えるかの「編集の費用」です。この記事では、前者を「置き場所の箱」、後者を「中身の箱」と呼びます。
アーカイブ配信は、ライブで配信したウェビナーやセミナーの録画を、後から見られるようにすることです。似た言葉の「オンデマンド配信」は、はじめから録画で見てもらう前提で作った動画を、好きなときに見られるようにすることを指して使われることが多く、置き場所と中身に分けて考えるのはどちらも同じです。
置き場所の箱は、0円から月額まで幅が広い
置き場所は、すでに使っている動画共有サービスや社内の共有フォルダに置くなら、新しい費用はかからないこともあります。一方、申込者だけに見せる仕組みや、見られ方の数字がほしいときは、月額や年額のサービスを使うことになり、容量や見る人の数によって金額が変わります。幅が広すぎて「相場」として言い切れないため、2章の項目を自社に当てはめて書き出すのが確実です。
中身の箱は、そのまま出すなら0円、整えるなら見積もり
録画をそのまま出すなら、中身の箱は0円です(担当者の手間は残ります)。外に頼んで整える場合、セミナー動画の編集だけの目安として、解説記事を並べると、下は2万円ほどから、上は15万円前後とするページが多くなっています。どれも算出方法は書かれていないため、幅としてだけ見てください。
出典(金額は税込・税抜の表記なし): 動画の発注先を紹介する3つのサイトの解説記事4ページ(PRONIアイミツ・比較ビズまとめ・@SOHO)。リンクは記事の最後の「この記事で参考にしたページ」にあります。
編集の値段が何で変わるかは、動画編集の依頼相場:1本の値段が変わる6つの条件と、見積もりの頼み方にまとめています。この記事では、その手前の「アーカイブ配信の全体でいくら見ておくか」を扱います。
セミナー録画の編集に絞った料金の目安と、見積もり用の1枚シートは、セミナー動画の編集料金の目安と見積もりの頼み方:そろえる5つの情報(1枚シートつき)にまとめています。
置き場所の箱(配信の費用)に入るもの
置き場所の箱は、月額の数字だけを見ると読み違えます。同じサービスでも、だれに・いつまで・どれだけ見せるかで金額が変わるためです。確かめることを、3つのまとまりに分けて見ていきます。
だれに・いつまで見せるか
まず決めるのは、見せる相手(社内だけ/申込者だけ/だれでも)と、視聴期限(2週間・1か月・期限なし など)です。見せる相手が広く、期限が長いほど、見られる回数が増え、次の「上限」に届きやすくなります。期限によって料金が変わるサービスもあるため、見積もりのときに一緒に伝えます。
お金のかかり方: 初期・月額・上限
有料の置き場所は、「初期費用」「月額(年額)」「上限を超えた分」の3つに分けて確かめると、読み違えが減ります。見落としやすいのは3つ目です。置ける動画の容量や、見られた量(転送量)に上限があり、超えたときに追加の料金になるのか、見られなくなるのか、上の段の契約に変わるのかは、サービスによって違います。
- 初期費用はかかるか
- 月額か年額か。最低の契約期間はあるか
- 容量と転送量の上限はどれくらいか。超えたときはどうなるか
見せ方の仕組み: 申込者だけに見せる・数字を見る
申込者だけに見せたいなら、その仕組みが要ります。たとえばYouTubeの「限定公開」は、検索結果やチャンネルには出ませんが、リンクを知っている人ならだれでも見られ、そのリンクをさらに共有することもできます。社外に出したくない話が入っているなら、申込フォームと連動して見られる人を絞る、パスワードをかける、といった仕組みが置き場所の箱に入ります。
あわせて、だれが・どこまで見たかの数字が取れるかも確かめます。営業のフォローに使いたいなら、この数字が取れるかどうかで置き場所の選び方が変わります。
出典: YouTube ヘルプ「動画のプライバシー設定を変更する」(2026年10月29日に確認)。リンクは記事の最後の「この記事で参考にしたページ」にあります。
中身の箱(編集の費用)に入るもの
中身の箱は、録画から何を作るかで決まります。大きく分けると、次の4つの形です。組み合わせることもできます。
- そのまま出す中身の箱は0円。手間は残る
- 全編を整える待ち時間・言い直しを切る
- 短く詰める90分を45分などにまとめる
- 一部を切り出すテーマごとに数分の動画に
形を決めたら、次の3つを足すかどうかを書き出します。
- 字幕: 話した言葉をすべて文字にするか、要点だけにするか、入れないか
- 見出し・冒頭のタイトル: 章ごとの見出しや、何のウェビナーかが分かる冒頭の画面を入れるか
- 映してはいけないものの処理: 質問した方のお名前、チャットの画面、社外秘の資料などを隠すか切るか
3つ目は、だれに見せるかで必要かどうかが変わります。ウェビナーの画面で何が映りやすいかは、動画編集を依頼する前に決める5つのことの4章で図にしています。
社内でやるなら、担当者の時間も費用に書く
編集を社内でやれば、外に払うお金は0円です。ただ、そのぶん担当者の時間を使います。予算シートには、「だれが、何時間くらい使うか」も書いておくと、外に頼むかどうかを同じ物差しで比べられます。どの作業を社内に残し、どれを外に出すかの分け方は、ウェビナーの外注はどこまで出す?作業20個の分担表が使えます。
どこにお金をかけるかは「だれに見せるか」で決まる
2つの箱のどちらにお金をかけるかは、だれに見せるかでおおよそ決まります。自社に近い行を見つけてください。
| 見せる相手 | 置き場所で大事なこと | 中身で大事なこと | そのまま出してよいか |
|---|---|---|---|
| 社内だけ | 社内の共有フォルダなど、いまある所で足りることが多い | 探しやすさ(見出し・題名) | 多くの場合はそのままでよい |
| 申込者だけ | 申込者だけに見せる仕組み・視聴期限・見られ方の数字 | 待ち時間を切る・映してはいけないものを隠す | 最低限の手当てはしたい |
| だれでも | 見つけてもらえる所に置く・公開する範囲 | 見やすさ(字幕・見出し・長さ)と、映してはいけないもの | 整えてから出すのがおすすめ |
申込者やだれでも見られる所に出すなら、アーカイブは「おまけ」ではありません。2025年の調査では、ウェビナーを見る側に尋ねたところ、アーカイブ動画の「視聴経験あり」は93.4%で、そのうち「アーカイブが申込みの決め手となった経験あり」は69.2%でした。一方、ウェビナーを開催する企業でアーカイブ配信をした経験があるのは47.2%と、半数に届いていません。
出典: 「ウェビナーに関するアンケート」株式会社シャノン・株式会社Innovation X Solutions(2025年10月調査、2025年12月24日発表。対象: 企業でサービスや製品を導入する際に情報収集や選定に関わる20歳以上の男女と、ウェビナーを主催する企業)。リンクは記事の最後の「この記事で参考にしたページ」にあります。
後から見られることを理由に申し込む人がいる、ということです。そうして見に来た人が、待ち時間から始まる録画で離れてしまわないように、見始めてすぐ本題に入れる中身にしておくと、せっかくの録画が役に立ちます。
そもそもアーカイブを出すか、出すならどの範囲にするかは、ウェビナーのアーカイブ配信、録画は公開すべき?で目的ごとに整理しています。
ウェビナー動画のアーカイブ配信のやり方と、費用がかかる場面
アーカイブ配信のやり方は、大きく4つの段に分かれます。それぞれの段で、どちらの箱の費用が出るかを添えました。オンデマンド配信のやり方も、録画を「録る」所が「作る」に変わるだけで、流れは同じです。
- 録画するウェビナーの当日(費用はここでは出にくい)
- 中身を整える中身の箱の費用
- 置いて案内する置き場所の箱の費用
- 見られ方を見る置き場所の箱(数字が取れるか)
- 録画する: Zoom や Teams の録画機能で、当日の様子を残します。録画の段階で気をつける設定と保存先は、ウェビナー録画の保存先と設定の記事にまとめています。
- 中身を整える: 3章の形(そのまま・整える・詰める・切り出す)を決め、社内でやるか外に頼みます。
- 置いて案内する: 2章で決めた置き場所に置き、申込者にメールなどでリンクと視聴期限を知らせます。
- 見られ方を見る: どれくらい見られたか、どこで見るのをやめたかを確かめ、次の回の中身に生かします。
録画の後にお願いしたい作業(字幕・切り出し・要約文など)の分け方は、ウェビナーの外注はどこまで出す?の「開催の後」の表で、印を付けながら決められます。
アーカイブ配信の予算シート(記入例つき)
ここまでの話を、録画1回分につき1枚のシートに書き出します。まずは記入例です。架空の60分のウェビナーを、申込者だけに2週間見せる例で書いています。金額の欄は、見積もりや契約中のプランの数字をそのまま書き写すところなので、記入例では空けています。
- 見せる相手
- 申込者だけ(当日来られなかった方を含む)
- 視聴期限
- 開催から2週間
- お金のかかり方
- いま契約中のプランの範囲内か確かめる(初期費用なし・月額は契約のまま、の例)
- 上限
- 容量・転送量の上限と、超えたときの扱いを確かめる
- 見せ方
- 申込フォームと連動して、申込者だけが見られる
- 形
- 全編を整える(開始前の待ち時間と言い直しを切る)
- 字幕・見出し
- 字幕は要点だけ。章の見出しを入れる
- 映さない
- 質問した方のお名前・チャットの画面
- だれが
- 外に頼む(見積もりの金額を書く)/社内の確認は担当者が約2時間(例)
空のシートは、下のボタンでコピーできます。かっこの所を埋めて、社内の稟議や、見積もりを頼むときのメモに使ってください。
そのまま使える予算シート(録画1回分につき1枚)
アーカイブ配信の予算シート 録画の名前: 【〇〇ウェビナー(〇月〇日開催・約〇〇分)】 ■ 置き場所の箱(配信の費用) 1. 見せる相手: 【社内だけ/申込者だけ/だれでも】 2. 視聴期限: 【〇週間/〇か月/期限なし】 3. 初期費用: 【使う/使わない】 金額: 【〇〇円】 4. 月額・年額: 【使う/使わない】 金額: 【〇〇円】(最低の契約期間: 【〇か月】) 5. 容量と転送量の上限: 【〇〇】 超えたとき: 【追加の料金/見られなくなる/プランが変わる】 6. 申込者だけに見せる仕組み: 【要る/要らない】(【フォームと連動/パスワード/その他】) 7. 見られ方の数字: 【要る/要らない】(だれが・どこまで見たか) 置き場所の箱の合計: 【〇〇円】 ■ 中身の箱(編集の費用) 1. 形: 【そのまま出す/全編を整える/〇分に短く詰める/〇本切り出す】 2. 字幕: 【全文/要点だけ/なし】 3. 見出し・冒頭のタイトル: 【要る/要らない】 4. 映してはいけないもの: 【質問した方のお名前・社外秘の資料 など】 5. だれが作業するか: 【外に頼む(見積もり〇〇円)/社内(担当: 〇〇・約〇時間)】 6. 何回分か: 【今回だけ/毎月(年〇回)】 中身の箱の合計: 【〇〇円】+社内の時間【約〇時間】 ■ 1回分の合計: 【〇〇円】 ■ 年間の見込み(毎回やる場合): 中身の箱 × 【〇】回 + 置き場所の箱(月額 × 12か月 など)
編集を外に頼むときの見積もりの頼み方は、動画編集の依頼相場の5章に、メールのひな形を載せています。予算シートの「中身の箱」を書いておけば、そのメールに必要なことはほぼそろっています。
セミナー録画なら、見積もりに要る情報を1枚にまとめたシートをセミナー動画の編集料金の目安と見積もりの頼み方:そろえる5つの情報(1枚シートつき)に載せています。
1回分を書いたら、次の回から使い回す
ウェビナーは、毎月や四半期ごとに続くことが多いものです。最初の1回分で予算シートを書いたら、2回目からは変わった所だけを書き換えます。置き場所の箱は契約が同じなら書き換えることはほとんどなく、変わるのは中身の箱(長さ・形・映してはいけないもの)くらいです。
毎回続けるなら、年間の見込みも出しておくと、社内で予算を取りやすくなります。中身の箱は1回分 × 回数、置き場所の箱は月額 × 12か月(または年額)が目安です。回数が増えると、上限に届きやすくなることもあるので、2章の「超えたとき」を年に一度は見直してください。
2つの箱に分けておくと、「置き場所は今のままで、中身にだけ少しお金をかける」「中身は社内でやり、置き場所だけ見直す」といった判断を、行ごとにできるようになります。どこまでを社内で決めておくかは、動画編集を依頼する前に決める5つのことも参考にしてください。
まとめ
アーカイブ配信の料金は、録画を置いて見せる「配信の費用(置き場所の箱)」と、見やすく整える「編集の費用(中身の箱)」の合計です。置き場所は0円で済む方法から月額のサービスまで幅が広く、中身はそのまま出すなら0円、整えるなら見積もりで決まります。
どちらにお金をかけるかは、だれに見せるかで決まります。申込者やだれでも見られる所に出すなら、中身を整える意味は大きくなります。まずは次のウェビナー1回分で、6章の予算シートを埋めてみてください。
よくある質問
アーカイブ配信は無料でもできますか?
置き場所は、すでに使っている動画共有サービスや社内の共有フォルダを使えば、新しい費用をかけずにできることがあります。ただ、たとえばYouTubeの限定公開は、リンクを知っている人ならだれでも見られ、共有もできます。申込者だけに見せたいときは、その仕組みに費用がかかることがあります。また、置き場所が無料でも、中身を整える手間は残ります。
アーカイブ配信とオンデマンド配信の違いは何ですか?
ライブで配信したものの録画を後から見られるようにするのがアーカイブ配信、はじめから録画で見てもらう前提で作った動画を好きなときに見られるようにするのがオンデマンド配信、と呼び分けられることが多いです。費用を「置き場所」と「中身」に分けて考える点は、どちらも同じです。
ライブで話したまま、編集せずに出してもいいですか?
社内だけで見るなら、そのままでも十分なことが多いです。申込者やだれでも見られる所に出すなら、少なくとも開始前の待ち時間を切り、質問した方のお名前や社外秘の資料など、映してはいけないものだけは手当てしておくと安心です。
視聴期限は、どれくらいにすればよいですか?
録画の目的によって変わります。申込者へのフォローなら短めに区切り、研修などで何度も見てもらうなら長めにする、という考え方もあります。期限で料金が変わるサービスもあるため、決めた期限を予算シートの「視聴期限」に書き、見積もりのときに一緒に確かめてください。
この記事で参考にしたページ
1章の編集の目安、2章の限定公開の説明、4章の調査の数字は、次のページで確かめました(1章の目安は2026年10月23日、ほかは2026年10月29日に映作堂で確認)。1章の目安は各ページが公開している数字で、どれも算出方法は書かれていません。4章の調査は、回答の人数が発表のページの文章には書かれていません。
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映作堂について
映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、伝わる動画に仕上げます。この記事でいう「中身の箱」のうち、録画を整える作業をお引き受けしています。ウェビナー録画の料金のページに、録画1本に含む作業と含まない作業を載せています。お問い合わせのときは、予算シートの「中身の箱」をそのまま貼り付けていただけます。分かる所だけで大丈夫です。料金に含む作業と含まない作業を分けてお見積もりします。まずは1本、お試しください。