チャンネルの目的を決める4つの手順

  1. 目的を1行でだれに、何をしてほしいか
  2. 見る数字を3つに届いた・見られた・動いた
  3. 数える準備フォームに1行足す
  4. シートに書く社内で共有する

数字は月に1回記録し、3か月ごとに見直す

図1 この記事の流れ。目的を1行で書き、見る数字を3つに絞り、数える準備をしてシートにまとめます

「会社でもYouTubeを始めることになった。担当は君に」。そう言われて、まず困るのが「何のためにやるのか」を上司やまわりに説明することではないでしょうか。始めてみたものの、再生数が思ったほど伸びず、「これは失敗なのか」と不安になっている方もいると思います。この記事の最後に、社内でそのまま使える記入シートを付けています。

企業のYouTubeの目的は「だれに、何をしてほしいか」の1行

企業がYouTubeをやる目的は、会社によってさまざまです。2023年の調査で、自社のYouTubeを運用している担当者110人に目的を聞いたところ(複数回答)、「拡散・話題化」45.5%、「採用の強化」41.8%、「集客強化」40.0%、「ブランディング」39.1%と、答えが分かれました。

出典: 「企業のYouTube動画制作における実態調査」株式会社グローバルプロデュース(調査は同グループの株式会社グローバルメタバース)、調査 2023年2月20日〜21日、インターネット調査、自社のYouTubeを運用している担当者110人、2023年8月17日発表 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000075828.html

ただ、「集客」「採用」「ブランディング」のような言葉のままでは、何を作り、何を見ればよいかが決まりません。そこで、目的を「だれに見てもらい、見た人に何をしてほしいか」の1行に書き直します。

だれに例: 店を開く準備中の方
何をしてほしいか例: 見学を申し込んでほしい
チャンネルの目的1行で書く
①届いたか②見られたか③動いたか
図2 「だれに」と「何をしてほしいか」を足すと、チャンネルの目的が1行になります。目的が決まると、見る数字3つも決まります

よくある4つの目的を、1行にするとこうなります。

  • 集客・問い合わせ: 新しいお客さまに自社を知ってもらい、問い合わせにつなげる
  • 採用: 働きたい人に社内の様子を伝え、応募につなげる
  • 商談の補助: 検討中のお客さまに製品の特長を先に見てもらい、商談では質問や見積もりに時間を使えるようにする
  • いまのお客さまへの説明: 使い方の動画を見てもらい、同じ質問を減らす

この「だれに+何をしてほしいか」は、動画1本ごとの「役目」を決めるときと同じ型です。1本ごとの役目の決め方は、動画編集を依頼する前に決める5つのことの1章にまとめています。チャンネルの目的が1つ決まり、その下に1本ごとの役目がぶら下がる、という関係だと考えると整理しやすくなります。

目的は、できれば1つに絞るのがおすすめです。集客と採用の両方をねらうと、見てほしい人も、話す中身も変わるためです。両方やりたいときは、まず1つに決め、3か月ほど続けてから2つ目を足すかを考えてみてください。

再生数だけを目標にしないほうがよい理由

目的を1行で書かないまま始めると、いちばん目に入りやすい「再生数」が、いつのまにか目標になりがちです。先ほどの2023年の調査で「何をKPI(目標の数字)としていますか」と聞いたところ(複数回答)、最も多かったのは「視聴回数」48.2%でした。「問い合わせ数」は40.0%、「再生時間」は33.6%、「チャンネル登録者数」は29.1%です。同じ調査では、悩みとして「目的を設定できていない」と答えた人が19.1%いました。

出典: 1章と同じ調査(株式会社グローバルプロデュース、2023年8月17日発表)。「問い合わせ数」はコーポレートサイトなどへの問い合わせの数です。110人の調査のため、目安としてご覧ください。

一方、2026年の調査で、YouTubeの運用を撤退・中止した経験がある企業の担当者190人にその理由を聞いたところ(複数回答)、最も多かったのは「営業成果に繋がらなかった」41.1%でした。続いて「再生数が伸びず成果が見込めなかった」39.5%、「継続投稿が困難であった」37.9%です。

同じ調査で、撤退していない113人に続けた理由を聞くと、「ブランド認知度が向上した」23.9%、「営業成果につながるリードが発生した」21.2%、「顧客との接触機会が増えた」18.6%という答えがありました。

出典: 「YouTube運用の撤退・失敗に関する実態調査」株式会社アカシア、調査 2026年2月12日、インターネット調査、YouTubeを自社で運用中または運用した経験がある企業の担当者303人、2026年3月30日発表 https://acacia-web.com/news/youtube-research/

この2つは、年も対象もちがう別の調査です。言えるのは、「KPIに視聴回数を挙げた人が最も多かった」ことと、「やめた理由に営業成果に繋がらなかったを挙げた人が最も多かった」ことが、それぞれの調査に出ている、というところまでです。

そのうえで映作堂としては、再生数とあわせて、会社の成果にいちばん近い数字を最初に1つ決めておくことをおすすめします。再生数だけを見ていると、「数字は動いているのに、会社の役に立っているか分からない」状態になりやすいためです。

企業のYouTubeの効果は3つの数字で見る:届いたか・見られたか・動いたか

YouTubeの管理画面(YouTube アナリティクス)には、たくさんの数字が並んでいます。全部を追うと、それだけで疲れてしまいます。そこで、目的に合わせて次の3つだけを見ることをおすすめします。

  1. ①届いたか表示された・再生された
  2. ②見られたかどのくらい見てもらえたか
  3. ③動いたか問い合わせ・応募など
  4. 見直す3か月ごとに
図3 見る数字3つの流れ。①と②は YouTube アナリティクスで、③は自社の問い合わせや応募の記録で数えます

①届いたか

見てほしい人の目に、動画が触れたかどうかです。YouTube アナリティクスの「インプレッション数」(一覧などに動画の表紙が表示された回数)や「視聴回数」で確かめます。

②見られたか

再生した人が、中身まで見てくれたかです。「平均視聴時間」で確かめます。伝えたいことが動画の後半にあるなら、そこまで見てもらえているかが大事になります。

③動いたか

見た人が、1行目で書いた「してほしいこと」をしてくれたかです。問い合わせや応募は YouTube の外で起きるため、自社の問い合わせフォームや面接・商談の記録で数えます。3つのうち、目的にいちばん近いのがこの数字です。数え方は5章で説明します。

チャンネル登録者数は、あえて3つに入れていません。登録者が増えることが、問い合わせや応募に直接つながるとは限らないためです。たとえば、決まったお客さまに何度も見てもらうことが目的の会社など、登録者数が目的に近い場合は、②の代わりに入れてもかまいません。

目的別:企業のYouTubeで見る3つの数字

1章の4つの目的ごとに、見る数字を当てはめると次のようになります。自社の目的にいちばん近い行を選び、そのまま使ってみてください。

目的(1行の例)①届いたか②見られたか③動いたか
新しいお客さまに知ってもらい、問い合わせにつなげるインプレッション数・視聴回数平均視聴時間問い合わせのうち「YouTubeを見て」と答えた数
働きたい人に社内の様子を伝え、応募につなげる視聴回数平均視聴時間応募のうち「動画を見た」と答えた数(面接で聞く)
検討中のお客さまに先に見てもらい、商談を質問から始められるようにする動画のリンクを送った相手の数と、その動画の視聴回数平均視聴時間商談で「動画で見ました」と言われた数
いまのお客さまの使い方の質問を減らす視聴回数平均視聴時間同じ内容の問い合わせの数(減ったか)

商談の相手に先に見てもらう動画は、一般には公開せず、リンクを知っている人だけが見られる「限定公開」にすることもあります。その場合は、だれが見たかまでは分からないため、送った数と視聴回数を並べて記録しておくと、届いているかの目安になります。

どの行でも、③は YouTube の画面の外にあるのがポイントです。再生数がそれほど多くなくても、③が少しずつ動いていれば、続けながら中身を整えていく手がかりになります。

「動いたか」を数える準備:フォームに1行足す

③の数字は、準備をしないと数えられません。始める前に、または今日から、次のことを整えておきましょう。

  1. 問い合わせフォーム・応募フォームに「何で知りましたか」の欄を足し、選択肢に「YouTube」を入れる
  2. 電話や面接、商談の場で「何を見てご連絡くださいましたか」と聞き、答えを記録する人と場所を決める
  3. 動画の説明欄に載せるリンク先を、YouTube から来た方向けのページにする(どのページから来たかを分けて数えられるようにする)
  4. 数字を記録する日を「毎月1日」のように決め、記録する表を1つだけ作る

説明欄のリンク先を分けるには専用の設定もありますが、最初は「フォームの欄」と「その場で聞いて記録する」の2つだけでも十分です。フォームに1行足すだけで、「YouTubeを見て問い合わせた人」が数えられるようになります。

数字を毎日見る必要はありません。毎日見ると、上がり下がりに気持ちが振り回され、疲れて続かなくなる原因にもなります。記録は月に1回、判断は3か月ごと、と決めておくのがおすすめです。もし途中で止まってしまったら、続かない理由と再開の手順をYouTubeが続かない会社への記事にまとめています。

記入シート:チャンネルの目的と3つの数字を書く

ここまでの内容を、1枚のシートにまとめます。まずは架空の会社で書いた例をご覧ください。

チャンネルの目的シート(記入例)例: 業務用の厨房機器を販売する会社(架空)
目的
だれに
飲食店を開く準備をしている方
何を伝え
店の広さに合った機器の選び方
何をしてほしいか
ショールームの見学を申し込んでほしい
数字
①届いたか
インプレッション数(YouTube アナリティクス)
②見られたか
平均視聴時間(YouTube アナリティクス)
③動いたか
見学の申し込みフォームで「YouTube」を選んだ数
日付
記録する日
毎月1日(担当: 〇〇)
見直す日
例: 2027年1月末(始めてから3か月後)
図4 チャンネルの目的シートの記入例(架空の会社)。目的の1行、見る数字3つ、記録する日と見直す日をそろえて書きます

自社の分は、下のひな形をコピーして書き込んでください。社内の会議資料や、チャットでの共有にもそのまま使えます。

そのまま使える「チャンネルの目的シート」

チャンネルの目的シート(作成日: 【〇月〇日】 担当: 【お名前】)

■ 目的(1行)
私たちのチャンネルは、【だれ】に【何を伝え】、【何をしてほしい】ためのものです。

■ 見る数字(3つだけ)
①届いたか: 【インプレッション数/視聴回数 など】
②見られたか: 【平均視聴時間 など】
③動いたか: 【問い合わせ・応募のうち「YouTube」と答えた数 など】

■ 数える場所
①②: YouTube アナリティクス
③: 【問い合わせフォームの「何で知りましたか」の欄/面接・商談で聞く など】

■ 記録と見直し
記録する日: 毎月【1】日(担当: 【お名前】)
見直す日: 【3か月後の日付】
見直すときに決めること: 続ける/中身を直す/目的を変える

見直しの間隔を3か月としているのは、月に1回の記録が3回たまり、増えたか減ったかの向きが見えやすくなるためです。何か月で効果が出るかは、業種や出す本数によって大きく変わるため、ここでは「いつ判断するか」を先に決めておく形にしています。社内の事情に合わせて変えてかまいません。

シートができたら、動画の企画や台本、社内と外部の分担を決める段階に進みます。

社内と外部の分担の決め方はYouTube運用代行で頼めること・社内に残すことの記事に、よそのチャンネルからまねる工夫を見つける観察シートは中小企業のYouTube成功事例の読み方の記事にまとめています。

台本を書き込まずに撮るための「話す順の3行メモ」は、企業YouTubeの台本はいらないでご紹介しています。

YouTubeの再生回数が伸びないときに、先に確かめること

再生回数が伸びないと、つい「やり方が悪いのでは」と考えてしまいます。直し方を探す前に、次の3つを順に確かめてみてください。

  • ③は動いているか: 問い合わせや応募に「YouTubeを見て」が出てきていれば、再生数が少なくても、続けて様子を見る理由になります
  • ②は足りているか: 再生されても、伝えたい所の前で見るのをやめられていないか
  • 比べている期間は正しいか: 数え方が変わる前の月と、そのまま比べていないか(下の囲み)

2026年8月24日から、YouTubeの視聴回数の数え方が変わりました

YouTube ヘルプによると、2026年8月24日から、ショート動画・長尺動画(VOD)・ライブ配信を含むすべての形式で、動画の再生開始回数が視聴回数として数えられるようになりました。

このため、8月24日より前の月の再生数と、そのあとの月の再生数を単純に比べるのはおすすめしません。数字が上がって見えても、動画の中身や見てくれる人が変わったとは限らないためです。前の月と比べるときは、変更のあとの月どうしで比べるか、②③の数字とあわせて見るようにしましょう。前の年の同じ月と比べるときも同じです。

出典: YouTube ヘルプ「エンゲージメント指標のカウント方法」(2026年10月29日に確認) https://support.google.com/youtube/answer/2991785?hl=ja

3つを確かめても、③がまったく動かないときは、1行目の目的と動画の中身が合っているかを見直します。動画づくりを外に頼む場合も、最初に渡すのはこの目的の1行です。企画や投稿までまとめて頼むときに、見積もりで何を確かめるかは、YouTube運用代行の相場:見積もりの「何が含まれる値段か」を読む方法に、編集だけを頼むときの値段の決まり方は動画編集の依頼相場:1本の値段が変わる6つの条件と、見積もりの頼み方にまとめています。

社内で編集する場合に、1本にどれくらいの時間がかかっているかは、YouTubeの編集に時間がかかる理由の記事で計算できます。

まとめ

企業のYouTubeの目的は、「だれに見てもらい、何をしてほしいか」の1行で書けます。見る数字は、①届いたか ②見られたか ③動いたか の3つだけ。中でも、目的にいちばん近い③は YouTube の外で数えるため、フォームに1行足すところから始めましょう。最後に、次のことを確かめてみてください。

  1. チャンネルの目的を「だれに+何をしてほしいか」の1行で書いた
  2. 目的を1つに絞った
  3. 見る数字を3つ決め、数える場所を書いた
  4. 問い合わせ・応募フォームに「何で知りましたか」の欄を足した
  5. 記録する日(月に1回)と、見直す日(3か月後)を決めた
  6. 再生数を、数え方が変わる前の月と単純に比べていない

よくある質問

企業がYouTubeをやる目的は何ですか?

集客・問い合わせ、採用、商談の補助、いまのお客さまへの説明などがよくある目的です。どれを選ぶにしても、「だれに見てもらい、何をしてほしいか」の1行に書き直すと、作る動画と見る数字が決まります。目的は、できれば1つに絞るのがおすすめです。

企業のYouTubeは、再生回数が少なくても意味がありますか?

意味がある場合もあります。会社のYouTubeは、見てほしい相手がもともと限られていることが多いためです。再生回数より、問い合わせや応募のうち「YouTubeを見て」と答えた人がいるかで判断するのがおすすめです。

企業のYouTubeの効果は、どれくらいで出ますか?

業種や目的、出す本数によって大きく変わるため、何か月と言い切ることはできません。おすすめは、期間を当てにするのではなく、「3か月ごとに、決めた3つの数字を見て判断する」と先に決めておくことです。

チャンネル登録者数は、目標にしなくてよいですか?

目的に直接つながる会社だけが目標にすれば十分です。決まったお客さまに続けて見てもらうことが目的なら、登録者数は大事な数字になります。そうでなければ、この記事の3つの数字で多くの場合は足ります。

次に読む

映作堂について

映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、伝わる動画に仕上げます。ご依頼のときに、この記事で書いたチャンネルの目的の1行を添えていただくと、だれに向けた動画なのかを最初に共有しやすくなります。まずは1本、お試しください。