本業の合間に動画を編集していると、「1本仕上げるのに、気づけば丸1日以上かかっている」「ほかの会社はもっと早く作っているのでは」と不安になることがあります。上司から「今月はあと何本出せる?」と聞かれても、そもそも1本に何時間かかっているのか、はっきり答えられない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、目安の時間を探すより先に、自分の会社の1本を測って、時間と費用を数字で出す方法をまとめました。数字が出れば、このまま社内で続けるか、やり方を変えるかを、落ち着いて決められます。
YouTube編集の5つの工程
- 素材の準備集める・取り込む・見返す
- カット使う所を選んでつなぐ
- 字幕・テロップ話した言葉や要点を文字に
- 仕上げ画像・BGM・サムネイル・書き出し・投稿
- 社内の確認と直し見てもらう・直す・また見てもらう
合計の時間 × 担当者の時給 = 1本あたりの社内の費用
YouTubeの編集にかかる時間の目安:10分の動画で数時間〜10数時間
YouTubeの編集にかかる時間(工数)の平均を調べると、たくさんの解説記事が見つかります。ところが、10分前後の動画1本について、解説記事A〜Dに書かれている目安を並べてみると、短いもので3時間ほど、長いものでは10数時間(場面が多い動画では15時間以上)と、大きな開きがあります。
数字がそろわないのは、どの記事も前提にしている動画が違うからです。たとえば、次のような条件で、かかる時間は大きく変わります。
- 元の素材の長さ: 10分の動画を作るのに、撮った素材が15分なのか1時間なのか
- 字幕の量: 話した言葉をすべて文字にするのか、要点だけを出すのか
- 動画の種類: 1人が話すだけの動画か、場面が何度も変わる動画か
- 慣れ: 同じ形の動画を何本作ってきたか
また、目安として出ている数字には、調査の結果ではなく、書いた人の経験にもとづくものが多く見られます。ですから、「平均より遅い・早い」と比べることには、あまり意味がありません。目安は「数時間〜10数時間ほどの幅がある」とだけ受け止めて、自分の会社の1本が何時間かかっているかを測るほうが、判断にずっと役立ちます。
出典: 10分前後の動画1本の編集時間の目安(解説記事A〜D・どれも根拠となる調査の記載なし・2026年10月29日に確認) A: クラウドワークス テクノロジーマガジン「動画編集の『時間かかりすぎ』を解決!今すぐ試せる時短テクニック5選」(日付の表示なし)「3〜8時間」 https://town.crowdworks.jp/articles/video-editing-takes-too-long B: ムビサク「動画編集にかかる時間はどれくらい?工程別の目安時間や時間短縮の方法も解説」(2025年5月26日更新・会社説明動画8〜10分が前提)「8〜12時間」 https://mvsk.jp/column/100063 C: hensuu ブログ「YouTubeの動画編集にかかる時間はどのくらい?各工程の時間配分を解説!」(2021年12月24日公開・30分程度の素材から作る場合の例。仕上がりの長さの記載なし)「6〜9時間」 https://blog.monolisix.jp/archives/11123 D: 比較ビズまとめ「動画編集にかかる時間は?時間がかかる理由や短縮させるコツを徹底解説」(2025年1月8日更新)「話す動画で5〜6時間、Vlog 10時間〜、エンタメ 15時間〜」 https://www.biz.ne.jp/matome/2009828/
YouTube編集の時間は5つの工程に分かれる
YouTubeの編集にかかる時間を測るときは、作業を図1の5つに分けて考えると分かりやすくなります。
時間が長くなりやすいのは「カット」と「字幕」
多くの解説記事に共通しているのは、カット(使う所を選んでつなぐ作業)と字幕・テロップに時間がかかりやすい、という点です。カットは、素材を最初から最後まで見ながら「どこを残すか」を決める作業なので、素材が長いほど時間が延びます。字幕は、言葉を打ち込み、出す長さや位置を合わせる作業がくり返し続きます。
会社では「社内の確認と直し」も編集の時間に入れる
解説記事の多くは、編集する人が1人で完成させる前提で書かれています。けれども会社の動画では、上司や広報、ときには話した本人に見てもらってから公開するのがふつうです。見てもらい、直し、もう一度見てもらう。この往復も、担当者の時間をしっかり使っています。
図1で5つ目に「社内の確認と直し」を入れているのは、このためです。ここを数えずに「編集は6時間で終わっている」と考えていると、実際の負担とずれてしまいます。
会社でYouTubeの編集に時間がかかる3つの理由
個人で動画を作る人と、会社の担当者とでは、時間がかかる理由が少し違います。ソフトの使い方やパソコンの性能よりも、次の3つが効いていることが多いです。
理由1: 兼務で作業が細切れになる
広報や営業、総務などの仕事と編集を掛け持ちしている担当者は、少なくありません。会議や電話で手が止まるたびに、「どこまで進めたか」「次はどの場面か」を思い出す時間がかかります。1回あたりは数分でも、1本の中で何度もくり返すと、合わせて大きな時間になります。
理由2: 社内の確認と直しの往復
だれが、いつまでに見るかが決まっていないと、直しの意見がばらばらに届いたり、ほぼ完成した後で大きな直しが入ったりします。待っている間に別の仕事を始めると、理由1の「思い出す時間」も重なります。
確認と直しの往復が長くなる流れ
- 仮の完成を見せる見る人と期限が決まっていない
- 見てもらうのを待つ待つ間に別の仕事へ
- 直しがばらばらに届く人によって意見が違う
- 直して、また見せる1に戻る
理由3: 決めごとがなく、毎回ゼロから考える
字幕の色や大きさ、動画の長さ、冒頭のあいさつの入れ方などが決まっていないと、毎回「今回はどうしよう」と考えるところから始まります。素材の置き場所が決まっていなければ、探す時間もかかります。考える時間は、手を動かす時間より見えにくいため、気づかないうちに1本の時間を延ばしています。
まず次の1本で、工程ごとの時間を測る
ここからは、自分の会社の数字を出していきます。最初にやることは、次に作る1本だけ、工程ごとに時間を記録することです。何本も測る必要はありません。
- 図1の5つの工程を、メモに書いておく(スマホのメモ帳で十分です)
- 作業を始めた時刻と、やめた時刻を書く。途中で別の仕事が入ったら、いったん止めて時刻を書き、戻ったらまた書きます
- 社内の確認と直しは、往復の回数も書く。「見せた日」「直しが届いた日」も残しておくと、待っていた日数も分かります
- 公開できたら、工程ごとに足し算する。分単位で書いておき、最後に時間に直します
記録するときは、いつもどおりに作るのがこつです。測ると思うと急ぎたくなりますが、ふだんの1本を測らないと、判断に使える数字になりません。また、素材を探していた時間や、何をどう直すか考えていた時間も、その工程に含めてください。
1本あたりの社内の費用を出す計算表
時間が分かったら、担当者の時給を掛けて、社内でかかっている費用に直します。時給は、次の式でおおまかに出せます。
たとえば(例)、月の給与が32万円で、月に160時間働く人なら、時給は2,000円です。この数字を使って、10分の動画を合計10時間で作った例を計算表に書き込むと、図3のようになります。
- かかった時間
- 1時間(例)
- 費用
- 1時間 × 2,000円 = 2,000円
- かかった時間
- 3時間(例)
- 費用
- 3時間 × 2,000円 = 6,000円
- かかった時間
- 2.5時間(例)
- 費用
- 2.5時間 × 2,000円 = 5,000円
- かかった時間
- 1.5時間(例)
- 費用
- 1.5時間 × 2,000円 = 3,000円
- かかった時間
- 2時間(例・往復2回)
- 費用
- 2時間 × 2,000円 = 4,000円
- 1本あたり
- 10時間 × 2,000円 = 20,000円
- 月に4本なら
- 20,000円 × 4本 = 80,000円
- 1年なら
- 80,000円 × 12か月 = 960,000円
例では、1本あたり2万円、1年で96万円になりました。大事なのは金額の大きさそのものではなく、「1本の動画に、社内でどれだけの時間とお金を使っているか」が、はじめて数字で見えることです。会社ごと、担当者ごとに結果はまったく違いますので、ぜひ自社の数字で書き込んでみてください。
下の表は、そのままコピーしてメモ帳や表計算ソフトに貼り付けて使えます。
そのまま使える計算表(1本分)
YouTube編集の時間と社内の費用(1本分) 動画の名前: 【 】 仕上がりの長さ: 【 】分 / 元の素材の長さ: 【 】分 ■ 担当者の時給(目安) 月の給与【 】円 ÷ 月の働く時間【 】時間 = 時給【 】円 ■ 工程ごとの時間 1. 素材の準備(集める・取り込む・見返す): 【 】時間 2. カット: 【 】時間 3. 字幕・テロップ: 【 】時間 4. 仕上げ(画像・BGM・サムネイル・書き出し・投稿): 【 】時間 5. 社内の確認と直し: 【 】時間(往復【 】回) 合計: 【 】時間 ■ 社内の費用 1本あたり: 合計【 】時間 × 時給【 】円 = 【 】円 1か月: 1本【 】円 × 月【 】本 = 【 】円 1年: 1か月【 】円 × 12 = 【 】円 ※ 会社が負担する社会保険料などは含めない、簡単な計算です。
この計算は、おおまかな目安です
ここでの時給は、月の給与を働く時間で割っただけの簡単なものです。会社が負担する社会保険料や、賞与・交通費などは含めていません。正確な人件費として社内の資料に使うときは、経理のご担当者や、社会保険労務士・税理士などの専門家に確かめてください。
数字が出たら選べる4つの道
1本あたりの時間と社内の費用が出たら、次の4つの中から、自社に合うものを選びます。どれが正しいということはありません。
- 今のまま続ける数字に納得できれば、それも答え
- 決めごとを作る字幕の型・長さ・確認する人
- 作業を分ける社内に残す作業と、分ける作業
- 外に任せる編集を社外に頼む
今のまま続ける
数字を見て「この時間と費用なら、社内で作る価値がある」と思えるなら、それも立派な答えです。社内のことをよく知る人が作る動画には、ほかでは出せない良さがあります。そのときは、計算表を上司と共有し、編集にかかる時間を、担当者の仕事として正式に見込んでもらうと、無理なく続けられます。
決めごとを先に作る
理由3の「毎回ゼロから考える」時間を減らす道です。字幕の色・大きさ・出し方、動画の長さ、冒頭と最後の形を1枚の紙にまとめ、確認する人を1人に決めます。同じ形の動画が続くほど、カットと字幕の時間は短くなりやすくなります。決めておく項目は、外に頼むかどうかに関係なく、動画編集を依頼する前に決める5つのことの考え方がそのまま使えます。
作業を分ける
工程ごとに、「社内でしかできないこと」と「ほかの人でもできること」を分ける道です。何を話すか決めること、内容が正しいか確かめることは、社内に残したい作業です。一方で、カットや字幕のように手を動かす作業は、社内のほかの人や社外に分けられます。計算表で時間の長い工程から考えると、効果が大きくなります。
外に任せる
編集の工程をまとめて社外に頼む道です。このとき、計算表で出した「1本あたりの社内の費用」と、依頼先の見積もりを並べて考えられます。ただし、外に頼んでも、何を作るか決めることと社内の確認は残ります。1本の値段がどんな条件で変わるかは動画編集の依頼相場:1本の値段が変わる6つの条件と、見積もりの頼み方にまとめています。投稿や企画まで含めて任せたい場合は、YouTube運用代行の相場も参考になります。
続けるための「見直しの線」を決めておく
どの道を選んでも、時間は少しずつ変わっていきます。慣れて短くなることもあれば、担当者の本業が忙しくなって、気づかないうちに負担が増えることもあります。
そこで、計算表の数字をもとに、「ここを超えたら、やり方を見直す」という線を社内で1つ決めておくのがおすすめです。
- 1本の時間が【 】時間を超えたら
- 社内の確認と直しの往復が【 】回を超えたら
- 公開の予定日に、2回続けて間に合わなかったら
線を決めておけば、「なんとなく大変」ではなく、数字を見て話し合えます。3か月に1度など、決まった時期に1本だけ測り直すと、変化にも気づきやすくなります。
まとめ
YouTubeの編集にかかる時間は、10分前後の動画で数時間〜10数時間と、解説記事の目安にも大きな幅があります。会社で時間がかかる理由は、兼務で作業が細切れになること、社内の確認と直しの往復、決めごとがないことの3つが重なりやすく、ほかの会社や目安の数字と比べるより、自社の1本を測るほうが役に立ちます。
まずは次の1本で、5つの工程ごとに時間を記録してみてください。時給を掛けて「1本あたりの社内の費用」が出れば、今のまま続けるか、決めごとを作るか、作業を分けるか、外に任せるかを、数字をもとに選べます。
よくある質問
10分のYouTube動画の編集には、ふつう何時間かかりますか?
解説記事の目安では、数時間〜10数時間と幅があります。素材の長さ、字幕の量、動画の種類、慣れによって大きく変わるため、「ふつう」の時間を決めるのは難しいのが正直なところです。自社の判断に使うなら、次の1本で工程ごとに時間を測るのがいちばん確かです。
1時間の撮影素材から10分の動画を作ると、どのくらいかかりますか?
素材が長いほど、最初から見直して「どこを使うか選ぶ」時間が増えます。何時間とは言い切れませんが、カットの時間が長くなりやすいと考えておくとよいでしょう。撮るときに話す順番を決めておく、使わない場面にメモを残しておくなど、撮る段階の工夫でも短くできます。
慣れれば、編集の時間はどのくらい短くなりますか?
どのくらい短くなるかは人と動画によって違うため、数字ではお答えできません。ただ、字幕の型や動画の長さ、確認する人などの決めごとを作り、同じ形の動画を続けて作ると、毎回考える時間が減り、短くなりやすくなります。
社内の編集の費用は、どう計算すればよいですか?
「担当者の時給 × 1本にかかった時間 × 月の本数」で、おおまかな月の費用が出ます。時給は「月の給与 ÷ 月の働く時間」で目安を出せます。会社が負担する社会保険料などを含めた正確な人件費は、経理のご担当者や、社会保険労務士・税理士などの専門家に確かめてください。
映作堂について
映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、伝わる動画に仕上げます。計算表で「カットや字幕など、手を動かす作業を分けたい」と感じたときの選択肢の一つとして、ご検討ください。社内に残るのは、主に何を話すかを決めることと、仕上がりを確かめることです。まずは1本、お試しください。