「事務所のSNSを始めたけれど、3回投稿して止まっている」「ブログもSNSも動画も、と言われると、とても手が回らない」。1人や少人数で回している事務所では、よくある悩みです。本業の手続きや相談が先に来るのは当然で、発信が後回しになるのは、やる気の問題ではありません。
止まる理由の多くは、出す場所ごとに、毎回ゼロから作っていることにあります。この記事では、作るのは週に1本だけにして、それを3つに分けて出す回し方をご紹介します。全体の流れは、下の図のとおりです。
週1本の解説を、3つの出し先に分けて出す流れ
- テーマを1つ決める今週はこれ、と1つだけ
- 解説を1本書くブログに置く「元」の文章
- 確認の日出してよい内容か確かめる
- 3つに分けて出すブログ・SNS・短い動画
社労士のSNSが続かないのは「毎回ゼロから作る」から
事務所のSNSやブログが続かないとき、よくあるのは次のような形です。
- ブログの記事、SNSの投稿、動画の台本を、それぞれ別のテーマで考えている
- 「毎日投稿」「週に何本」と、先に本数の目標を決めてしまう
- 出す前に内容を確かめる時間が決まっておらず、不安で出せないまま止まる
どれも、作る量が多すぎることが原因です。続けることは、だれにとっても簡単ではありません。SNSについての2026年の調査では、SNSを使っている人のうち「定期的・頻繁に投稿」していると答えた人は9%でした(「たまに投稿」は25%)。続けて発信している人は、もともと多くないのです。
見る側が重視するのは「信頼」と「分かりやすさ」
同じ調査で、SNSで情報を得るときに重視することを聞いたところ、「信頼できる発信者であること」と「情報がわかりやすく整理されていること」が、それぞれ26%でした(「最新の情報であること」「短時間で要点がわかること」は19%)。
この調査は一般の方が対象で、経営者や人事の担当者に限ったものではありません。それでも、たくさん出すより、1本を分かりやすく出すほうが、事務所の発信としては筋がよいと言えそうです。だからこそ、作るのは週に1本。その1本を、形を変えて何か所にも出します。
出典: 「SNSに関する調査(2026年)実態編」株式会社クロス・マーケティング(2026年6月23日発表。全国20〜69歳の男女3,000人、2026年6月4〜5日、インターネット調査) https://www.cross-m.co.jp/news/release/20260623
社労士のSNS活用は「1本の解説を3つに分ける」
社労士のSNS活用でおすすめしたいのは、先に1本の解説を作り、それをブログ・SNS・短い動画の3つに分ける形です。テーマを考えるのは週に1回だけ。出す場所ごとに、長さと見せ方だけを変えます。税理士のSNS活用でも、税理士事務所のSNSでも、同じ形がそのまま使えます。
ブログ(ホームページ): くわしく置く場所
元になる解説は、事務所のホームページのブログに置きます。SNSや短い動画を見て「もっと知りたい」と思った方が、たどり着く場所です。SNSの投稿は流れて見えなくなりますが、ブログの記事は残り、あとから検索で見つけてもらえることもあります。
SNS: 要点3つで知らせる
SNSには、解説の要点を3つだけ書き、最後に「くわしくはブログで」とつなぎます。全部をSNSの中で説明しようとしないのがコツです。SNSだけで完結させず、ブログやホームページへつなぐことで、事務所のことをまとめて知ってもらえます。
短い動画: 要点3つを見せる(できる週だけ)
余裕のある週は、同じ要点3つを30〜60秒ほどの短い動画にします。新しく台本を考える必要はありません。3つの中でいちばん手間がかかるので、できない週は出さなくて構いません。作り方は5章でご紹介します。
下は、1本の解説を3つに分けたときの見本です(架空の事務所の例です)。
- 題名
- テレワークのルール、会社で決めておきたい3つのこと
- 中身
- 3つの点を1つずつ、よくある迷い方と一緒に説明。最後に「自社の場合は、事務所にご相談ください」
- 1文目
- テレワークのルール、決めていますか?
- 要点3つ
- ① だれが対象か ② 始業・終業の連絡のしかた ③ 通信費などの費用をどうするか
- 最後
- くわしくは事務所のブログで(リンク)
- 字幕1枚目
- テレワークのルール、決めていますか?
- 字幕2〜4枚目
- ① だれが対象?/② 始業・終業の連絡は?/③ 通信費は?
- 字幕5枚目
- くわしくは事務所のブログで
見本の「要点3つ」は、決めておくことの項目を並べただけで、答えは書いていません。答えはブログで、事務所の言葉で説明します。こうしておくと、SNSや動画が短いまま、ブログへの入口になります。
社労士事務所のSNSはどれを選ぶ?まずは1つ
SNSは、最初から全部やる必要はありません。読んでほしい人(顧問先になりそうな会社の経営者や人事の担当者)がいそうな所を、1つ選べば十分です。それぞれの特徴を短くまとめます。
- Instagram: 図や画像を数枚並べて見せる形が合います。士業のインスタ集客なら、要点3つを1枚ずつの図にすると、この記事の回し方とそのままつながります
- X: 短い文を気軽に出せます。要点3つを3つの投稿に分けて出すこともできます
- Facebook: 実名でつながる人が多い場所です。顧問先や知り合いの経営者とすでにつながっているなら、短い文とブログのリンクだけでも届けやすくなります
- YouTube: くわしい解説の動画を置けます。短い動画(ショート)も出せるので、5章の形と組み合わせられます
使っている人が多いSNSが、事務所の発信に合うとは限りません。迷ったら、今すでに顧問先や知り合いとつながっているSNSから始めると、最初の反応が得やすくなります。慣れて余裕ができたら、2つ目を足します。
週1本で回す予定表(曜日ごとの作業)
続けるためのいちばんの工夫は、何曜日に何をするかを先に決めておくことです。「時間ができたら書く」では、時間はなかなかできません。下は、1週間の予定表の例です。時間はあくまで例なので、事務所の忙しさに合わせて変えてください。
- 月曜 テーマを1つ決める目安の時間(例): 10分やること: 今週聞かれたことや、書きためたネタから1つ選ぶ。題名を1行で書く
- 火曜 解説を1本書く目安の時間(例): 60分やること: ブログに置く解説を書く。最後に「要点3つ」を箇条書きでまとめておく
- 水曜 確認の日目安の時間(例): 15分やること: 6章のチェックリストで、出してよい内容か確かめる。制度の数字や日付は公的なページで見直す
- 木曜 ブログとSNSに出す目安の時間(例): 30分やること: ブログに公開し、SNSに要点3つと「くわしくはブログで」を投稿する
- 金曜 短い動画(できる週だけ)目安の時間(例): 30分やること: 要点3つをスライドと字幕にして、30〜60秒の動画にする。できない週は休む
例の時間を足すと、1週間で2時間半ほどです。まとまった時間を1回取るより、毎日少しずつ分けたほうが、本業の合間に入れやすいのがこの形のよいところです。曜日は事務所の都合で入れ替えて構いませんが、「書く日」と「出す日」の間に確認の日をはさむ順番だけは残してください。
月曜に選ぶテーマに迷うときは、お客さまからよく聞かれる質問を書きためておくと楽になります。質問の集め方と書き出す表は、税理士の顧問先の増やし方:よくある質問を1問1本の発信に変える記入表にまとめています。
年度更新や算定基礎届、年末調整など、時期によって合うテーマを月ごとに並べる方法は、税理士のブログ集客:年末調整から確定申告まで、この冬の月別テーマ表でご紹介しています。
士業のショート動画は「要点3つ」をそのまま見せる
士業のショート動画というと、話す人が画面に出て、テンポよく話す動画を思い浮かべるかもしれません。けれど、この回し方では、SNSに書いた要点3つを、そのまま画面に出すだけで十分です。
- スライドを5枚作る: 1枚目に問いかけ、2〜4枚目に要点を1つずつ、5枚目に「くわしくはブログで」(図3の見本のとおり)
- 字幕を大きく入れる: 音を出さずに見る人もいるため、文字だけで内容が分かるようにします
- 30〜60秒ほどにまとめる: 1枚を数秒ずつ見せれば、この長さに収まります
顔を出したり、声を入れたりしなくても作れます。話すのが負担なら、スライドと字幕、音楽だけの形で始めてください。
顔を出さずに続ける形は、会社のYouTubeに社員が出たくないとき:顔出しなしの3つの形で見本といっしょにご紹介しています。
それでも動画は、3つの出し先の中でいちばん手間がかかります。ブログとSNSが回ってから足すくらいの順番で、ちょうどよいと思います。動画の編集だけを外に頼むときは、頼む前に決めておくことと費用の決まり方を別の記事にまとめています。
出す前の「確認の日」:社労士ならではの注意
社労士事務所のSNSには、一般の会社の発信にはない気をつけどころがあります。SNSの発信も、事務所の信用に関わります。予定表の水曜日に「確認の日」を置いているのは、このためです。出す前に、次の点を確かめます。
- 特定の会社の事情に答える、個別の相談への答えになっていない(「この場合は〜です」と言い切っていない)
- 顧問先や相談者が分かる話になっていない(業種・地域・人数などの組み合わせで分かってしまわないか)
- 制度の数字・日付・名前を、厚生労働省や日本年金機構などの公的なページで確かめた
- 制度が変わる時期をまたぐ内容なら、「〇年〇月時点」と書いた
- 写真や画面に、書類・顧問先の名前・社員の顔が映っていない
- 不安をあおる言い方や、言い切りすぎる言い方になっていない
- SNSと短い動画に、ブログへの道すじ(リンク・「くわしくはブログで」)を入れた
コメントやDMで相談が来たときの返し方
SNSを続けていると、コメントやダイレクトメッセージ(DM)で「うちの場合はどうなりますか」と聞かれることがあります。個別の事情を知らないまま答えると、思わぬ誤解につながることもあるため、SNSの上では個別に答えず、正式な相談の窓口へご案内するのが安心です。あらかじめ返し方を決めておけば、来たときに迷いません。
そのまま使える、SNSで相談が来たときの返信のひな形
ご連絡ありがとうございます。【事務所名】の【お名前】です。 ご質問の件は、会社の就業規則や働き方の状況によって答えが変わるため、SNS上での個別のお答えは控えております。 お手数ですが、事務所のお問い合わせ窓口(【お問い合わせページのURL】)からご相談ください。会社名や社員の方の事情などは、こちらのメッセージには書かずに、窓口からお知らせいただけると安心です。こちらから折り返しご連絡いたします。 (関連する記事があるとき)一般的な考え方は、こちらの記事にまとめています。 【ブログ記事のURL】
SNSの発信も、事務所の広告や信用に関わることがあります。何が問題になるかは内容によって変わるため、出す前に所属の会の規程を確かめ、判断に迷うときは所属の会や専門家にご相談ください。
止まりそうな週のルール
予定表を作っても、手続きが重なる週や、急な相談が入る週は必ずあります。止まりそうなときのために、先に3つのルールを決めておきます。
- 忙しくなる時期の前に、1〜2本書きためる: 年度更新や算定基礎届の時期、年末調整の時期など、事務所が忙しくなる時期は分かっています。その前の週に、解説を1〜2本多めに書いておき、忙しい週はそれを出すだけにします。週1本がきつい時期は、隔週にしても構いません。0にしないことを優先します
- 1つだけ出せた週も「続いた」に数える: ブログ・SNS・短い動画の3つがそろわなくても大丈夫です。SNSに要点3つだけでも出せたら、その週は続いたことにします。0にしないことがいちばん大事です
- 反応がよかった1本は、出し先を変えて出し直す: SNSで反応がよかったテーマは、数週あとに短い動画にする、ブログに追記して出し直す、など形を変えて出します。新しく書かなくても、その週の1本になります
回し方が身についたら、SNSのほかに、セミナーや紹介など事務所の入口を増やすことも考えられます。入口の種類と組み合わせ方は、士業の集客、紹介以外の5つの入口と最初の1か月にまとめています。
まとめ
社労士のSNSは、毎日投稿しなくても続けられます。作るのは週に1本の解説だけ。それをブログ(くわしく)・SNS(要点3つ)・短い動画(できる週だけ)の3つに分けて出します。曜日ごとに「決める・書く・確かめる・出す」を割り振り、確認の日をはさむことで、社労士事務所ならではの注意も守りやすくなります。
まずは、次の5つから始めてみてください。
- まず使うSNSを1つ決めた(すでに顧問先や知り合いとつながっている所など)
- 予定表の「書く日」「確認の日」「出す日」の曜日を決めた
- 今週のテーマを1つ決め、解説を1本書いた
- 解説の最後に「要点3つ」をまとめ、SNSの投稿にした
- SNSで相談が来たときの返信のひな形を、事務所の言葉に直して保存した
よくある質問
社労士事務所のSNSは、どのくらいの頻度で投稿すればいいですか?
「何本出せば成果が出る」という決まった数字はありません。大切なのは、続けられる量から始めることです。この記事の形なら、作るのは週に1本の解説だけで、ブログ・SNS・短い動画に分けることで、出す回数は増やせます。まずは週1回のSNSの投稿を止めずに続けることを目安にしてください。
SNSのコメントやDMで相談が来たら、答えてもいいですか?
個別の事情を知らないまま答えると誤解につながるおそれがあるため、SNSの上では個別に答えず、お問い合わせの窓口や面談へご案内するのが安心です。6章の返信のひな形を使ってください。どこまで答えてよいかの判断は、所属の会の規程を確かめ、迷うときは所属の会や専門家にご相談ください。
SNSで顧問先の事例を載せてもいいですか?
会社名を出さない形に変えても、業種や地域、人数などの組み合わせで分かってしまうことがあります。事例として載せるなら、顧問先の了解を取るのが基本です。了解が取れない話は、事例にせず「よくあるご相談」として一般的な形で書くと安心です。
SNSだけで、相談や顧問契約につながりますか?
地域や得意な分野、使うSNSによって変わるため、必ずつながるとは言えません。SNSは、事務所を知ってもらい、くわしい解説(ブログやホームページ)へ案内する役目と考えるのがおすすめです。相談を考えている方が、会う前に事務所の説明を読めることが、SNSを続けるいちばんの意味になります。
映作堂について
映作堂は、YouTube動画の編集をお引き受けしています。撮った動画を送るだけで、カット・テロップ・サムネイル・ショート動画まで仕上げ、決めた日時に公開されるよう予約します。事務所の解説を動画でも出したくなったときは、撮った動画を送っていただくだけで、編集から予約までお任せいただけます。やりとりは文字だけです。まずは1本、お試しください。