「会社でYouTubeを始めることになったけれど、出てくれる人がいない」「思い切って声をかけたら、はっきり断られてしまった」。会社のYouTubeの担当になると、まずここでつまずくことがあります。顔がインターネットに残ること、知り合いに見られること、話すのが苦手なこと。社員が出たくないと感じるのは、ごく自然なことです。

だからといって、出る人が決まるまでYouTubeを止めておく必要はありません。下の図が、一人ひとりが選べる「出る量」の段階です。

なお、採用動画では、働く人の様子が見えることが大事になります。この記事では、商品やサービスの紹介、使い方の説明など、販促や説明のための動画に絞ってお話しします。

会社のYouTubeに「出る量」の5つの段階

  1. 顔も声も出さない文字と画面だけ
  2. 声だけ画面や資料に声を重ねる
  3. 手だけ商品や作業の手元を映す
  4. 後ろ姿・首から下顔は映さない
  5. 顔も出す出たい人だけ

本人が選んだ段階から始める

図1 会社のYouTubeに出る量の5つの段階。上ほど出る量が少なく、社員が自分で選んだ段階から始めます

会社のYouTubeに社員が出たくないときも、顔出しなしで続けられる

会社のYouTubeに社員が出たくない、出演を断られた。それでも、企業のYouTubeは顔出しなしで続けられます。商品の使い方、申し込みの手順、よくある質問への答えなど、販促や説明のための動画で、見る人がまず知りたいのは中身だからです。画面や資料、商品の手元がはっきり見えて、説明が分かりやすければ、だれが話しているかは大きな問題になりません。

ただ、顔を出さない動画は「どんな会社が作っているのか」が伝わりにくくなります。そこで、声か手を残すのがおすすめです。落ち着いた話し方や、商品をていねいに扱う手つきからも、会社の人柄は伝わります。

大切なのは、出てくれる人がいないことを理由に、チャンネルを止めてしまわないことです。社内だけでは手が回らないときに、どこまでを外に任せられるかは、YouTube運用代行の相場:見積もりの「何が含まれる値段か」を読む方法で、作業の範囲ごとにまとめています。

出る人が決まらずにチャンネルが止まりかけているときの見分け方と立て直し方は、YouTubeが続かない会社へ:止まる3つの理由と再開の手順にまとめています。

顔を出すか出さないかではなく、「出る量」を選ぶ

「YouTubeに出てくれますか」と聞くと、「顔を出して話すこと」を思い浮かべて、答えが「はい」か「いいえ」の二択になりがちです。そこで、図1のように出る量を5つの段階に分けて、本人に選んでもらいます。顔は困るけれど声なら大丈夫、手元なら映ってもいい、という方もいます。聞き方を「出てくれますか」から「どこまでなら大丈夫ですか」に変えるだけで、話が前に進みやすくなります。

  • 顔も声も出さない: 画面や資料に文字(字幕)を重ねるだけ。だれも映らず、だれの声も入りません
  • 声だけ: 画面や資料を映しながら、声で説明します。顔は出したくないけれど声なら、という方に頼みやすい形です
  • 手だけ: 商品や作業の手元を映して、声で説明します。声はほかの人が入れてもかまいません
  • 後ろ姿・首から下: 作業している様子を、顔が映らない向きで撮ります
  • 顔も出す: 出たい人だけが出ます。全員が出る必要はありません

段階は、あとから上げても下げてもかまいません。上げるのも下げるのも本人が決めると最初に伝えておくと、頼まれる側の負担がぐっと軽くなります。

顔出しなしで会社のYouTubeを続ける3つの形(見本つき)

「声だけ」「手だけ」の段階で作れる形は、画面と声だけ、資料の説明、手元だけの3つです。1本の組み立ての見本を並べました(長さはどれも例です)。

顔出しなしの3つの形(1本の組み立ての見本)長さはすべて例。会社や内容に合わせて決めます
画面と声だけ
映すもの
パソコンやスマホの画面(操作しているところ)
だれの声
操作している社員が、操作しながら話す
1本の流れ
今日できるようになること → 操作の手順 → つまずきやすい所
長さの例
5〜8分
資料の説明
映すもの
スライド(1枚に1つのことだけ)
だれの声
スライドを作った社員か、説明の得意な社員
1本の流れ
よく聞かれる質問 → 答え → くわしい説明 → 次にすること
長さの例
5〜10分
手元だけ
映すもの
机の上の商品や、作業している手元(真上か斜め上から)
だれの声
作業している社員。話すのが苦手なら、あとで別の社員が声を入れる
1本の流れ
できあがりを先に見せる → 手順 → 気をつける所
長さの例
3〜8分
図2 顔出しなしの3つの形の見本。映すもの・だれの声・1本の流れ・長さの例を、同じ項目でそろえています

画面と声だけ

ソフトやサービスの使い方、申し込みの手順に向いています。画面に、お客さまの名前やほかの仕事のメールが映らないよう、録る前にデスクトップを片づけておくのがコツです。

資料の説明

サービスの紹介や、よくある質問への答えに向いています。声の説明と画面がずれないよう、1枚のスライドに1つのことだけを書くのがコツです。

手元だけ

商品の使い方や、作業の様子、ものづくりの工程に向いています。話すのが苦手な方には、手元を撮る人と声を入れる人を分けて頼むのがコツです。

声も出したくないときは

声も出したくない方がいる場合は、台本を別の社員が読むか、声を入れずに字幕だけで見せる方法があります。字幕だけの動画は音を出せない場所でも見てもらえますが、長い説明には向かないので、短い手順の紹介などから試すのがおすすめです。

どの形にするかは「見せたいもの」で決める

3つの形のどれにするかは、出る人の都合よりも先に、動画で見せたいものから決めると迷いません。

見せたいもの合う形動画の例
ソフト・サービスの使い方画面と声だけ初期設定のしかた、よく使う機能の紹介
申し込み・手続きの手順画面と声だけ申し込みフォームの書き方、予約のしかた
サービスの紹介資料の説明3分で分かるサービスの中身、料金の決まり方
よくある質問への答え資料の説明お客さまからよく聞かれる質問に、1本1問で答える
商品の使い方手元だけ開け方・組み立て方、長く使うためのお手入れ
作業の様子・ものづくりの工程手元だけ仕上げの作業、検品で見ている所

形を決める前に、「だれに見てもらい、何をしてほしいか」を1行で書いておくと、見せたいものがはっきりします。この1行の決め方は、動画編集を依頼する前に決める5つのことの「動画の役目」と同じ考え方です。チャンネル全体の目的と見る数字の決め方は、企業のYouTubeの目的の記事にまとめています。

話す中身は、きっちりした台本でなくてもかまいません。話すことを箇条書きで3〜5行にしておくだけで、声の出演を頼まれた社員も話しやすくなります。メモの書き方と見本は、企業YouTubeの台本はいらないでご紹介しています。

会社のYouTubeへの出演を断られにくい、社員への頼み方(文面つき)

社員に出演を頼むときに大事なのは、「断ってもいい」を最初に伝えることです。断れないと感じると、引き受けた人も不安なまま撮影に入ることになり、あとで「やっぱり消してほしい」となりやすくなります。出演は業務の命令ではなく、あくまでお願いとして頼みましょう。

頼む前に、社内で決めておくこと

  • 映る範囲の選択肢: 図1の5つの段階のどれを選べるか。名前を出すか出さないかも
  • 使う場所: YouTube で公開するのか、限定公開や社内だけなのか
  • 使う期間: いつまで公開しておくか。決めていなければ「決まっていない」と正直に書く
  • やめたいときの連絡先: だれに、どうやって伝えればよいか

この4つを決めてから、下の文面で声をかけます。社内のチャットやメールにそのまま貼って使えるようにしました。【】の所を書き換えてください。「お仕事の評価が変わることはありません」の一文は、上司や人事と確かめて、会社として約束できる場合だけ残してください。

そのまま使える、社内で出演を頼む文面

件名: 会社のYouTube動画へのご協力のお願い(お断りいただいても大丈夫です)

【お名前】さん

【部署】の【お名前】です。会社のYouTubeで【動画の内容(例: 商品の使い方の説明)】の動画を作ることになり、ご協力をお願いできないかと思い、ご連絡しました。

最初にお伝えしたいのは、お断りいただいても、まったく問題ないということです。断ったことで、お仕事の評価が変わることはありません。

■ 映る範囲は、選んでいただけます
 1. 顔も声も出さない(文字と画面だけ)
 2. 声だけ
 3. 手元だけ
 4. 後ろ姿・首から下
 5. 顔も出す
 お名前を出すかどうかも、選んでいただけます(出さない場合は、字幕にも入れません)。

■ 使う場所: 【YouTubeで公開/限定公開(リンクを知っている人だけ)/社内だけ】
■ 使う期間: 【〇年〇月まで/決まっていません(見直すときは、改めてご相談します)】
■ 撮影: 【〇月〇日ごろ・〇分ほど】。話すことは、こちらで箇条書きにしてお渡しします
■ 公開の前に: できあがった動画を見ていただき、気になる所があれば直します

■ やめたくなったとき・退職されるとき
 途中でやめたくなったときや、退職されるときは、【担当者の名前・連絡先】までお知らせください。動画の扱いをご相談します。

ご協力いただける場合は、選べる範囲の番号を【〇月〇日】までにお知らせください。
お断りの場合も、ひとことお返事いただけると助かります。

断られたら、出る量を下げて頼み直す

断られたときは、無理に説得せず、「声だけなら」「手元だけなら」と、出る量を一段下げて聞いてみます。それでも難しければ、その方には頼まず、ほかの方に声をかけるか、字幕だけの形にします。だれか一人に頼り切らず、声の人と手元の人を分けると、一人ひとりの負担も小さくなります。

出演の同意で決める4つ(辞めたあとの扱いも)

引き受けてもらえたら、撮る前に出演の同意を書面に残しておきます。決めておくことは、次の4つです。

  • 使う場所
    YouTube の公開・限定公開・社内・展示会など
  • 使う期間
    いつまで公開するか。見直す時期
  • 辞めたあとの扱い
    公開を続けるか、非公開にするか
  • 途中でやめたいとき
    だれに、どう伝えるか
図3 出演の同意で決める4つ。使う場所・使う期間・辞めたあとの扱い・途中でやめたいときの連絡のしかた

とくに、出演した社員が辞めたあとの扱いは、決めていないとあとで困りやすい所です。「退職したら非公開にする」「声だけの動画はそのまま使う」など、映る範囲ごとに決めておくと、本人も会社も安心できます。声や手元だけの動画でも、知っている人が見れば本人と分かることがあります。顔が映らない形でも、辞めたあとの扱いは同じように決めておきましょう。

書面を作るときは、次の項目が入っているかを確かめてください。

  1. 出演する人の名前と、映る範囲(顔・声・手元・名前を出すか)
  2. 使う場所(YouTube の公開・限定公開・社内・そのほか)
  3. 使う期間と、見直す時期
  4. 退職したあとの扱い
  5. 途中でやめたいときの連絡先と、そのときの動画の扱い
  6. 本人と会社の両方が、内容を確かめた日付

出演の同意と、法律の判断について

ここでご紹介したのは、出演の同意で一般的に決めておくことの整理です。社員に出演を求められるかどうか、退職後の動画の扱い、映る人の権利などは、会社の就業規則や雇用の条件、一人ひとりの事情によって考え方が変わります。書面の作り方や判断に迷うときは、くわしくは弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

顔出しなしの動画は、まず「限定公開」で1本出してみる

形と同意が決まったら、いきなり一般に公開するのではなく、まず「限定公開」で1本出してみるのがおすすめです。YouTube の動画の公開範囲は、「公開」「限定公開」「非公開」の3つから選べます。

  • 限定公開: 動画のリンクを知っている人だけが見られ、検索結果などには表示されません(ほかの人が公開の再生リストに入れた場合を除きます)
  • 非公開: 自分と、指定した人だけが見られます

出典: YouTube ヘルプ「動画のプライバシー設定を変更する」(2026年10月29日に確認) https://support.google.com/youtube/answer/157177?hl=ja

ただし、限定公開でも、リンクを受け取った人がほかの人に転送すれば、その人も見られます。「外には広まらない」とは言い切れないので、出演した社員にもそのことを伝えたうえで使いましょう。

  1. 限定公開で社内に出演した社員と一緒に見る
  2. 気になる所を直す映り込み・言い間違い
  3. お客さまに送るリンクを個別に案内
  4. 公開に切り替える本人の了解を得てから
図4 限定公開から始めて公開に切り替えるまでの4つのステップ。出演した社員と一緒に見てから、段階的に広げます

自分の声や手元を動画で見ると、「思ったより気にならない」と感じる方も、「ここは直してほしい」と感じる方もいます。出演した社員と一緒に見て、直したい所を直してから、図4の順に広げていきます。

録った動画の言い間違いや間を整えたり、字幕を入れたりする編集を外に頼む場合は、何で値段が変わるかを動画編集の依頼相場:1本の値段が変わる6つの条件と、見積もりの頼み方にまとめています。長い説明の動画から短い動画を切り出す方法は、企業のYouTubeショート:本編1本から5本を選ぶ基準と見本でご紹介しています。

まとめ

会社のYouTubeに社員が出たくないときも、販促や説明の動画なら、顔出しなしで続けられます。「出る量」を本人が選べるようにして、見せたいものに合う形を選ぶ。断ってよいことを先に伝えて頼み、同意を書面に残し、限定公開で1本出してみる。この順番で進めれば、出てくれる人がいないことで止まらずに済みます。

まずは、次の5つから始めてみてください。

  1. 動画で見せたいもの(画面・説明・商品)を決めた
  2. 3つの形から、見せたいものに合う形を選んだ
  3. 映る範囲・使う場所・使う期間・やめたいときの連絡先を決めた
  4. 「断っても大丈夫」を先に書いた文面で、社員に声をかけた
  5. 出演の同意を書面に残し、限定公開で1本出した

よくある質問

顔出しなしでも、会社のYouTubeは見てもらえますか?

使い方や説明の動画なら、見る人がまず知りたいのは中身です。画面や手元がはっきり見えて、説明が分かりやすければ、顔が映っていなくても見てもらえます。ただ、だれが作っているかは伝わりにくくなるので、声か手を残して、人柄が感じられるようにするのがおすすめです。

社員に出演を断られたら、どうすればよいですか?

無理に説得せず、「声だけなら」「手元だけなら」と、出る量を一段下げて聞いてみてください。それでも難しければ、ほかの方に声をかけるか、字幕だけの形にします。

出演した社員が辞めたら、動画は消さないといけませんか?

扱いは、会社の決まりや本人との約束によって変わります。出演の前に「辞めたあとの扱い」を本人と決めて、書面に残しておくのがおすすめです。どう扱うのがよいか迷うときは、弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

声も出したくない場合は、どうすればよいですか?

台本を別の社員に読んでもらうか、声を入れずに字幕だけで見せる方法があります。あとから声を入れたり、顔を出したりする形に変えることもできます。

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映作堂について

映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、伝わる動画に仕上げます。人が話す動画のほか、商品の紹介などの動画も、言い間違いや間のカットと全文のテロップで、見やすく整えます。まずは1本、お試しください。