「ショート動画もやったほうがいいと言われるけれど、本編を作るだけで手いっぱい」「切り抜いてみたものの、どの場面を選べばいいのか毎回迷う」。会社のYouTubeを担当している方から、よくうかがう悩みです。
ショートのために、新しい企画や撮影を足す必要はありません。すでに話している本編の中に、ショートに向く場面はたいてい入っています。むずかしいのは「どこを選ぶか」と「選んだ所をどう直すか」です。この記事では、本編1本からショート5本を選ぶ割り当てと基準、そして切る前・切った後の見本を、順番にまとめました。
本編1本から作るショート5本
- 答えの1本題名の問いに先に答える
- つまずきの1本よくある思い違い
- 手元の1本作業・商品・操作
- くらべの1本前と後・AとB
- 予告の1本続きが気になる所
5本とも縦のショートにして、「関連動画」で本編へ
企業のYouTubeショート(ショート動画)は「本編への入口」
YouTubeショート(ショート動画)は、スマートフォンで縦に見る、短い動画です。2026年10月時点のYouTubeの公式ヘルプでは、2024年10月15日以降に上げた、正方形か縦長で3分以内の動画がショートになります。以前は「60秒まで」でしたが、今は3分まで作れます。
見る人の数も多く、2025年には公式ブログで、ショートは世界で1日平均2,000億回以上見られていると紹介されました。日本だけの数字ではありませんが、本編を検索で探して見る人とは別に、指で次々と動画を送りながら見ている人が大勢いる、ということです。
会社のYouTubeでは、ショートを本編への入口と考えると、作るものがはっきりします。ショート1本で商品の説明をすべて終える必要はありません。「この会社はこんな話をしている」と知ってもらい、気になった人が本編へ、さらにサイトやお問い合わせへ進めれば十分です。だからこそ、入口の先にある本編から切り出すのが、いちばん手間が少なく、つながりも自然になります。
出典: YouTube ヘルプ「3 分間の YouTube ショートについて」(2026年10月29日に確認) https://support.google.com/youtube/answer/15424877?hl=ja/YouTube Official Blog「Tall updates coming to Shorts」(2024年10月3日) https://blog.youtube/news-and-events/tall-updates-coming-to-shorts//YouTube Official Blog「Neal Mohan at Cannes Lions 2025」(2025年6月18日。全世界の数字) https://blog.youtube/news-and-events/neal-mohan-cannes-2025/
本編1本からショート5本:役目の割り当て
「いい場面があったら切り抜く」だと、選ぶたびに迷います。そこで先に、5本の役目を決めておき、本編の中からそれぞれに合う場面を探すやり方をおすすめします。役目が決まっていれば、毎回同じ手順で選べます。
- 答えの1本: 本編の題名が問いかけていることに、先に答える場面。「〇〇はどう選ぶ?」という本編なら、その答えを言っている所です。
- つまずきの1本: 「よくある思い違いは〜」「実は〜ではありません」のように、見る人が思い込んでいることをひっくり返す場面です。
- 手元の1本: 作業の手元、商品、パソコンの画面の操作など、目で見て分かる動きがある場面です。
- くらべの1本: 直す前と直した後、AとBの違いなど、2つを並べると違いが分かる場面です。
- 予告の1本: 「ここから先が大事です」と話が盛り上がる手前の場面。あえて答えの手前で終え、続きを本編で見てもらいます。
5本にしているのは、10〜15分ほどの本編(例)なら、たいてい役目の違う場面が5つは見つかり、次の本編を出すまでの間を、週に1〜2本のショートでつなげる量だからです(本数・頻度は映作堂のおすすめで、公式の基準ではありません)。本編が短い回は3本、話題が多い回は増やす、と調整してかまいません。
役目を分けておくと、5本が似た中身になりにくいのも利点です。同じ結論を5回くり返すより、入口が5種類あるほうが、ちがう興味の人に届きます。
ウェビナーの録画からショートを作る場合は、ウェビナーの二次利用の「素材の地図」もあわせてご覧ください。
ショートに向く場面を選ぶ5つの基準
役目に合う場面の候補が見つかったら、ショートの形に合うかどうかを確かめます。本編ではよい場面でも、縦の小さな画面・音を消した再生・短い時間では伝わらないことがあるからです。次の表を印刷するか手元に写して、候補の場面ごとに印を付けてください。
| 基準 | 確かめ方 | 印 |
|---|---|---|
| A. 入りの一言がある | 最初の2〜3秒に、得が分かる一言を置けるか | はい直せば可いいえ |
| B. 縦に切っても収まる | 話す人・手元が真ん中にあるか | はい直せば可いいえ |
| C. 音を消しても伝わる | 字幕だけで意味が通るか | はい直せば可いいえ |
| D. 3分以内で話が閉じる | 3分以内で話が閉じるか | はい直せば可いいえ |
| E. 続きが本編にある | 「くわしくは本編へ」と案内できるか | はい直せば可いいえ |
使い方はかんたんです。「いいえ」が1つでもあれば、その場面は見送り、同じ役目の別の候補を探します。「直せば可」は、5章の見本のように編集で直せる所です。
- A: 一言が場面の途中や最後にあっても、前に移せれば「直せば可」です。
- B: 横に広い表や、左右に分かれた画面が中心の場面は、縦にすると収まりません。
- C: 「これを」「ここが」と画面を指す言葉ばかりだと、字幕だけでは伝わりません。
- D・E: 途中で切ると意味が変わらないか、本編を見る理由が残っているかも見ます。この2つは場面そのものの性質なので、編集では直しにくいと考えてください。
記入例: 12分の本編(例)で候補を比べる
架空の本編「〇〇の選び方」(12分・例)で、役目ごとの候補に印を付けると、次のようになります。
| 候補の場面(例) | 役目 | 印の結果 | 決めたこと |
|---|---|---|---|
| 03:20〜04:10 | 答え | A・C が「直せば可」、ほかは「はい」 | 使う。答えの一文を冒頭へ移し、字幕を付ける |
| 05:40〜06:30 | つまずき | すべて「はい」 | 使う。ほぼそのまま縦にする |
| 07:10〜08:00 | 手元 | B が「いいえ」(手元が画面の端) | 見送り。06:40 ごろの手元の場面を代わりに確かめる |
| 08:30〜09:40 | くらべ | C が「直せば可」 | 使う。「前」「後」の文字を画面に出す |
| 10:30〜11:00 | 予告 | すべて「はい」 | 使う。最後に「続きは本編で」の一言を足す |
このように、表に残しておくと、社内のだれが選んでも同じ結果になりやすく、外に編集を頼むときも、そのまま指示として渡せます。
選ばない場面:先に外すと早い
候補を探す前に、ショートに使わない場面を先に消しておくと、見直す時間が短くなります。本編を見ながら、次の所は最初から候補に入れません。
- あいさつ・自己紹介・チャンネルの案内: 本編には必要でも、ショートで初めて見る人には関係がありません。
- 前の話を受けている所: ショートは、指で送られてきた1本だけを見る人がほとんどです。「先ほどの続きですが」から始まる場面は、その1本の中に話の前提がありません。
- 横長のスライドを読ませる所: 縦に切ると横幅が大きく減り、横長のスライドの文字は収まらないか、読めないほど小さくなります。
- 画面がしばらく止まっている所: 話す人も画面も動かない時間が長いと、指で送られやすくなります。
本編で出していても、ショートで出す前にもう一度確かめたいこと
ショートは、チャンネルを知らない人にも広く届きます。取引先やお客さまの名前・ロゴ、画面に映った社内の資料、映りたくない社員などが入っていないかを、切り出したあとにもう一度見てください。会社として何を出さないかは、動画編集を依頼する前に決める5つのことの「出してはいけないもの」でまとめています。
社員が動画に出たくない会社は、顔を出さずに続ける形を会社のYouTubeに社員が出たくないとき:顔出しなしの3つの形で紹介しています。
切る前・切った後の見本:直すのは4か所
選んだ場面を、そのまま縦にして上げるだけでは、ショートとしては伝わりにくいことが多いです。2章の「答えの1本」に選んだ場面(例)で、切る前と切った後を並べてみます。
- 切る前
- 「えー、先ほどの続きですが、ここからは実際に選ぶときの話です」
- 切った後
- まるごと削る
- 直す理由
- 前を見ていない人には意味が通らず、入りの数秒がもったいない
- 切る前
- 場面の最後に「つまり、いちばん大事なのは〇〇を先に決めることです」
- 切った後
- この一文を冒頭に移し、大きな文字を重ねる
- 直す理由
- 最初の2〜3秒で、何の話で、見ると何が分かるかを伝えるため(基準A)
- 切る前
- 横長の画面の左に話す人、右にスライド
- 切った後
- 縦に切って話す人を真ん中に置き、スライドの要点は字幕の文字で出す
- 直す理由
- 縦の画面に両方は入らないため(基準B・C)
- 切る前
- 「では、次に〜」と次の話題に入りかける
- 切った後
- 「続きは本編で、選び方の手順をお話ししています」の一文に差し替え、関連動画に本編を設定
- 直す理由
- 話を区切り、見終わった人の行き先を示すため(基準D・E)
直した後のショートは、元の50秒より短くなりました。ショートは長ければよい、短ければよいというものではありません。入りの一言から本編への案内まで、話がひと続きになっているかで長さを決めます。
字幕は、音を消して見る人のために、話した言葉をほぼそのまま付けるのが基本です。縦の画面では、下のほうがボタンや説明の文字と重なりやすいので、字幕は画面の中ほどに置くと読みやすくなります。
なお、BGMや効果音に市販の曲を使うのは避けてください。公式ヘルプでは、1分を超えるショートに著作権の申し立て(Content ID)があると、そのショートが見られなくなると案内されています。音の扱いで迷うときは、YouTube Studio のオーディオ ライブラリなど、使ってよいと明記された音を選びます。
出典: YouTube ヘルプ「3 分間の YouTube ショートについて」(2026年10月29日に確認) https://support.google.com/youtube/answer/15424877?hl=ja
企業のYouTubeショートから本編へつなぐ方法
ショートを本編への入口にするには、見た人が本編へ移れる道を用意します。ここでつまずきやすいのが、ショートの説明欄やコメントにURLを書いても、押せるリンクにならないことです。公式ヘルプでは、スパムや詐欺を減らすための仕様と説明されています。「コメント欄に本編のリンク」という古いやり方は、今は使えません。
本編から作るショートには、次の2つのやり方があります(2026年10月時点の公式ヘルプ)。
やり方1: YouTube の機能で、本編の一部を切り出す
YouTube のスマートフォンのアプリには、自分のチャンネルの公開済みの動画から、60秒以内の部分を選んでショートを作る機能があります。こうして作ったショートは、元の動画へのリンクが自動で付きます。ただし、非公開・限定公開の動画や、著作権の申し立てがある動画からは作れません。縦に切る位置や字幕の細かい調整は、編集してから上げるやり方2のほうが自由です。
やり方2: 縦に編集した動画を、ショートとして上げる
5章の見本のように縦に編集した動画(3分まで)を上げたあと、YouTube Studio の[コンテンツ]からショートに「関連動画」として本編を設定します。設定すると、ショートの画面に本編へ移れるリンクが表示されます。選べるのは公開か限定公開の動画で、上級者向け機能が使えるチャンネルだけが設定できます。
- 本編を公開か限定公開にしておく関連動画に選べる状態に
- 縦に編集する4か所を直す
- ショートを上げる3分まで
- 関連動画に本編を設定見た人が本編へ移れる
操作の画面は変わることがあるため、細かい手順は下の公式ヘルプで確かめてください。上級者向け機能がまだ使えないチャンネルは、先に設定画面で確認しておくと、ショートを上げる日に慌てずにすみます。
出典: YouTube ヘルプ「視聴者とリンクを共有する」 https://support.google.com/youtube/answer/13748639?hl=ja/YouTube ヘルプ「動画から YouTube ショート動画を作成する」 https://support.google.com/youtube/answer/12836917?hl=ja/YouTube ヘルプ「YouTube ショート動画に関連動画を追加する」 https://support.google.com/youtube/answer/14075157?hl=ja(いずれも2026年10月29日に確認)
まずは次の本編1本で、5本選んでみる
最初から全部の本編でやろうとせず、次に公開する本編1本で試すのがおすすめです。進め方は次のとおりです。
- 本編を見ながら、4章の「選ばない場面」を外す
- 2章の5つの役目ごとに、候補の場面を1〜2か所ずつ書き出す
- 3章の表で印を付け、「いいえ」のない場面を5本決める
- 5章の4か所を直して、縦のショートにする
- 本編の公開の前後から、週に1〜2本ずつ(例)上げ、関連動画に本編を設定する
5本を出し終えたら、YouTube Studio で、どの役目のショートがよく見られたか、コメントや高評価が多かったかを見てみてください。たとえば「つまずきの1本」の反応がよければ、次の本編では、思い違いを正す話を意識して入れておく、といった形で本編づくりに返せます。ショートを本編の「おまけ」で終わらせず、次の本編の材料にするのが、続けやすいやり方です。縦に作ったショートは、会社のほかのSNSの縦型動画にも使い回せます(各SNSの長さの上限は、それぞれの公式の案内で確かめてください)。
切り出しや字幕を外に頼む場合は、3章の記入例の表が、そのまま指示書になります。1本あたりの費用がどんな条件で変わるかは動画編集の依頼相場:1本の値段が変わる6つの条件と、見積もりの頼み方で、ショートの企画や投稿まで任せる場合の考え方はYouTube運用代行の相場:見積もりの「何が含まれる値段か」を読む方法でまとめています。
まとめ
企業のYouTubeショートは、新しく撮らなくても、本編1本から作れます。先に5つの役目(答え・つまずき・手元・くらべ・予告)を決めて候補を探し、ショートの形に合うかを5つの基準で確かめ、4か所を直して本編へつなぐ。この流れを1回やってみると、次からは本編を作る段階で「ここはショートになる」と気づけるようになります。上げる前には、次の5つを確かめてください。
- 最初の2〜3秒で、何の話か分かる一言が入っている
- 音を消しても、字幕だけで話が分かる
- 縦の画面で、話す人や手元が切れていない
- 取引先・お客さまの名前や社内の資料が映っていない
- 「関連動画」に本編を設定した(やり方1なら、元の動画へのリンクが付いている)
よくある質問
YouTubeショートは何分まで投稿できますか?
2026年10月時点の公式ヘルプでは、3分までです。2024年10月15日以降に上げた、正方形か縦長で3分以内の動画がショートになります。ただし、YouTube の機能で自分の本編から切り出す場合は60秒以内です。仕様は変わることがあるので、上げる前に公式ヘルプで確かめてください。
ショートの説明欄にリンクを貼っても押せないのはなぜですか?
スパムや詐欺を減らすため、ショートの説明欄やコメントに書いたURLは押せないリンクになる仕様です。本編へ案内したいときは、ショートに「関連動画」として本編を設定してください。設定には、上級者向け機能が使えるチャンネルである必要があります。
ショートだけで運用してもいいですか?長い動画とどちらを優先すべきですか?
会社の目的によりますが、ショートと本編は役目が違います。ショートは知ってもらう入口、本編はくわしく分かってもらう場所です。すでに本編を作っている会社なら、本編を続けながら、そこからショートを作るのがいちばん手間が少なくすみます。
ショートはどのくらいの頻度で出せばいいですか?
公式に決まった頻度はありません。無理なく続けられる量が大切です。この記事のやり方なら、本編1本から5本を作り、週に1〜2本ずつ(例)出すと、次の本編までの間をつなげます。
映作堂について
映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、伝わる動画に仕上げます。本編の編集と、本編から作るショート動画(縦型・1本15〜60秒・全文テロップ)の編集もお引き受けしています。まずは1本、お試しください。