実績を見て「この人にお願いしたい」と思えた。あとは頼むだけ。そんなときに、ふと不安になるのが「この先のやりとりは大丈夫だろうか」ということではないでしょうか。会社の窓口と違い、相手は1人です。返事はいつ来るのか、休みの日はあるのか、預けた録画はどうなるのか、請求書は経理の決まりに合うのか。

こうした不安の多くは、相手が個人だから起きるのではなく、最初に聞いていないから起きるものです。この記事では、動画編集を個人に依頼するときに、契約の前に相手と確かめたい7つを、聞き方の例文つきで紹介します。社内で先に決めておくこと(動画の役目や任せる範囲)は、動画編集を依頼する前に決める5つのことにまとめています。

個人に頼むときのやりとりの流れ

  1. 問い合わせ見本と見積もりをお願いする
  2. 7つを確かめる質問をまとめて1回で送る
  3. 条件をメールで残す決まったことを1通にまとめる
  4. 試しの1本仕上がりとやりとりを見る

安心して、2本目から続けて頼める

図1 個人に動画編集を頼むときのやりとりの流れ。この記事は2つ目の「7つを確かめる」を中心に書いています

動画編集を個人に外注するなら、最初の1往復で7つを確かめる

ポイントは、7つをまとめて1回で聞くことです。7つはどれも、相手の腕前とは別の「一緒に仕事を進めるための約束」です。1つずつ聞くと往復が増え、相手にも自社にも手間がかかります。まとめて聞けば、返事の速さや書き方から、相手の仕事の進め方も見えてきます。7つを1枚にまとめたチェックリストは5章に、そのまま送れる質問の文面は6章にあります。

なお、1本の値段がどんな条件で変わるか(長さ・作業の量・納期など)は、この記事では扱いません。見積もりの頼み方とあわせて、動画編集の依頼相場:1本の値段が変わる6つの条件と、見積もりの頼み方をご覧ください。

個人への依頼で、あとから困りやすい4つの場面

個人に頼んだあとで困りやすいのは、たとえば次のような場面です。どれも、仕上がりの良し悪しより先に起きる「進め方」の困りごとです。

  • 急ぎの確認をしたいのに、返事がいつ来るか分からない
  • 直しのやりとりが何往復も続き、公開日に間に合わない
  • 納品のあと、預けた録画が相手の手元にいつまで残るか分からない
  • 届いた請求書の形が、社内の経理の決まりに合わない
図2 個人に動画編集を頼んだあとで困りやすい4つの場面。どれも、最初に聞いておくことで防ぎやすくなります

とくに見落とされやすいのが、4つ目の請求書です。経理の担当者さまが「登録番号がない」「支払いの期日が社内の締めと合わない」と気づくのが、1本目の請求書が届いたあと、ということも少なくありません。最初に聞いておけば、1通のメールで済みます。

次の章から、7つを1つずつ「なぜ聞くか」と「聞き方の例」で見ていきます。

確かめる7つ(前半):作業の範囲・連絡・休み・直し

① 作業の範囲と、できあがりの見本

同じ「動画編集」でも、カットだけの人もいれば、字幕・テロップ・サムネイル・ショート動画まで受ける人もいます。頼みたい作業が相手の受けている範囲に入っているかを、最初に確かめます。

あわせて、自社の動画に近いジャンルの見本を見せてもらいましょう。ウェビナーの録画なら話を聞きやすく整えた見本、YouTubeなら同じくらいの長さの見本があると、仕上がりの想像がしやすくなります。お客さまから預かった動画は外に出せないことも多いので、「見せられる範囲で」と添えると相手も答えやすくなります。

聞き方の例:「カット・字幕・サムネイルまでお願いしたいのですが、対応していただける範囲を教えてください。近いジャンルの見本があれば、見せられる範囲で拝見できますか」

② 連絡の手段と、返事の目安

個人に頼むときに、いちばん多い不安が「連絡がつくか」です。メールかチャットか、返事はどのくらいで来るのか、打ち合わせは必要か。これを最初に聞いておくと、社内の予定も立てやすくなります。

返事の目安は「平日〇営業日以内」のように、はっきりした言葉で答えてもらうのがコツです。急ぎのときの連絡のしかた(件名に印をつける、など)を決めている人もいます。また、記録が残るよう、やりとりは文字(メールやチャット)にそろえておくと、あとで「言った・言わない」になりません。

聞き方の例:「ご連絡はメールとチャットのどちらがよいですか。ふだん、お返事はどのくらいでいただけますか。急ぎのときの連絡のしかたも教えてください」

③ 休みの日と、遅れそうなときの知らせ方

会社なら休みの日は決まっていますが、個人は人によって違います。作業しない曜日と、年末年始などの長い休みを聞いておけば、公開日から逆算した予定が立てられます。

もう1つ大事なのが、遅れそうなときに、いつ知らせてもらえるかです。体調を崩すこともありますし、素材の差し替えで日程がずれることもあります。「遅れると分かった時点で連絡をもらう」ことと、「連絡がとれないときに、途中までのデータをどう受け取るか」まで決めておくと、万が一のときも慌てずに済みます。契約をやめるときの決まりは、7章をご覧ください。

聞き方の例:「作業をお休みする曜日や、長いお休みの予定はありますか。納期に遅れそうなときは、どのようにご連絡いただけますか」

④ 確認と直しの回数

直し(修正)の回数に決まりはありません。料金に含まれる回数、追加の料金になる条件、相手が直すまでの日数を確かめておきます。相手の間違い(字幕の誤字など)を直すときは、回数に数えないかも聞いておくと安心です。

あわせて、自社の側が初稿を見る日数も伝えておきましょう。「初稿から3営業日以内に返します」のように伝えておけば、相手も次の予定を組めます。直してほしい所の伝え方は、動画編集を依頼する前に決める5つのことの3章(修正メモの見本)が参考になります。

聞き方の例:「料金に含まれる直しは何回までですか。追加の料金になるのはどんな場合ですか。直しのご連絡から、何日くらいで仕上がりますか」

確かめる7つ(後半):データ・権利・請求書とインボイス

⑤ データの扱い

ウェビナーの録画や社内の映像には、社外に出せない情報が映っていることがあります。個人に預けるときは、渡し方・保管の場所と期間・納品のあとに削除するかを確かめます。削除したときに連絡をもらえるかも聞いておくと、社内への説明がしやすくなります。

秘密保持契約が社内の決まりで必要な場合は、このタイミングで相手に伝えます。どちらのひな形を使うかも相談しておきましょう。録画のどこに注意が必要か(取引先の社名、質問した方のお名前など)は、渡す素材と「出してはいけないもの」を決めるで詳しく書いています。

聞き方の例:「素材は共有フォルダのリンクでお渡しする予定です。お預けしたデータは、どこに・いつまで保管されますか。納品のあとに削除し、ご連絡いただくことはできますか」

⑥ 権利と使い道

できあがった動画を、どこで使ってよいかを確かめます。YouTubeだけのつもりでも、あとから広告や展示会、社内の研修で使いたくなることはよくあります。使う予定の場所を先に伝えて、問題ないかを聞いておくと、あとで使い道を広げるときにも困りません。

もう1つは、動画に入るBGM・効果音・フォント・画像です。相手が使う素材の使用許可が、自社の使い方(広告に使う、など)まで含んでいるかを確かめておきましょう。編集のデータ(作業途中のファイル)を受け取れるかも、必要なら聞いておきます。

聞き方の例:「完成した動画は、YouTubeのほか、広告や展示会でも使う予定です。問題ありませんか。BGMやフォントは、この使い方でも使えるものでしょうか」

⑦ 請求書・インボイス・支払いの期日

最後は、お金と書類です。請求書の形(PDFかどうか、送り先)、インボイスの登録番号があるか、締め日と支払日を確かめます。社内の経理の決まり(月末締め・翌月末払いなど)に合わせられるかも、ここで聞いておきます。

インボイスに登録していない相手に頼むこと自体は問題ありません。ただ、自社の消費税の計算で差し引ける額が変わります。登録していない事業者からの仕入れは、2026年10月1日から2年間は、差し引ける割合が70%です(2028年10月から50%、2030年10月から30%と段階的に下がります)。自社にどれくらい響くかは、経理のご担当者さまや税理士にご確認ください。

出典: 国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス制度)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm

聞き方の例:「請求書はPDFでお送りいただけますか。インボイスの登録番号はお持ちですか。弊社は月末締め・翌月末払いですが、それで問題ないでしょうか」

動画編集を個人に依頼するときのチェックリスト

7つを1枚にまとめました。相手から返事が来たら、答えがそろっているかを印を付けて確かめてください。空いている所があれば、もう一度だけ聞き直します。

  1. 作業の範囲:頼みたい作業が入っているか。近いジャンルの見本を見たか
  2. 連絡:連絡の手段と、返事の目安(「平日〇営業日以内」など)を聞いたか
  3. 休み:作業しない曜日・長い休みと、遅れそうなときの知らせ方を聞いたか
  4. 直し:料金に含まれる回数、追加の料金になる条件、直すまでの日数を聞いたか
  5. データ:渡し方・保管の期間・納品のあとの削除と、その連絡を聞いたか
  6. 権利:使う予定の場所を伝え、BGMやフォントもその使い方で使えるか聞いたか
  7. お金と書類:請求書の形・インボイスの登録番号・締め日と支払日を聞いたか

答えを並べると、相手の進め方が見えてきます。7つ全部に、具体的な言葉で答えてくれたかどうかも、1つの目安になります。

そのまま送れる「確認の質問」の文面

7つの質問を、1通のメールにまとめました。【】の所を書き換えて、そのままお使いください。見積もりをお願いするメールのあとに続けて送っても、見積もりと一緒に送ってもかまいません。

そのまま使える確認の質問

件名: 動画編集のご依頼の前に、確認させてください

【お相手のお名前】さま

【会社名】の【お名前】です。先日はご連絡ありがとうございました。
お願いする前に、進め方について7つ確認させてください。

1. 作業の範囲: 【カット・字幕・サムネイル など】までお願いできますか。
   近いジャンルの見本があれば、見せられる範囲で拝見したいです。
2. 連絡: ご連絡は【メール/チャット】でよいですか。
   ふだん、お返事はどのくらいでいただけますか。
3. 休み: 作業をお休みする曜日や、長いお休みの予定はありますか。
   納期に遅れそうなときは、どのようにご連絡いただけますか。
4. 直し: 料金に含まれる直しは何回までですか。追加の料金になる条件と、
   直しのご連絡から仕上がりまでの日数も教えてください。
   なお、弊社では初稿を【3】営業日以内に確認してお返しします。
5. データ: 素材は【共有フォルダのリンク】でお渡しします。
   保管の場所と期間、納品のあとに削除してご連絡いただけるかを教えてください。
6. 権利: 完成した動画は【YouTube・広告・展示会】で使う予定です。
   BGMやフォントも、この使い方で問題ないでしょうか。
7. 請求書: 請求書は【PDF・メール】でお願いできますか。
   インボイスの登録番号の有無と、弊社の【月末締め・翌月末払い】で
   問題ないかを教えてください。

分かる所だけでもかまいません。
お手数ですが、よろしくお願いいたします。

返事が届いたら、5章のチェックリストで答えがそろっているかを確かめます。

条件は書いて残し、まず1本で試す

答えがそろったら、決まったことを1通のメールにまとめて送り、相手から「この内容で大丈夫です」と返事をもらいます。これが、そのまま約束の記録になります。たとえば、次のような形です。

決まったことのまとめ(例)送る日: 1本目をお願いする前 相手の返事:「この内容で大丈夫です」
連絡と休み
連絡
メール。お返事は平日1営業日以内
休み
土日祝日・年末年始。遅れそうなときは、分かった時点でメールで連絡
直しとデータ
直し
料金に含むのは1本につき2回まで。相手の間違いの直しは数えない
データ
納品から30日後に削除し、メールで報告
お金と書類
請求書
PDFをメールで。月末締め・翌月末払い
使い道
YouTube・広告・展示会で使ってよい
図3 決まったことのまとめの例。7つの答えを1通のメールにまとめ、相手の返事をもらって残します

個人(従業員のいないフリーランス)に頼む場合の決まり

2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(フリーランス法)では、頼む側の事業者は、仕事の内容・報酬の額・支払期日などを、書面かメールなどですぐに示すことになっています。さらに、従業員のいる会社などが頼む場合は、報酬を成果物を受け取った日から60日以内の、できるだけ短い期日に支払うこと、6か月以上続けた取引をやめるときは30日前までに予告することも決まっています。

どの決まりが当てはまるかは、相手の働き方や取引の期間などで変わります。詳しくは公正取引委員会のサイトをご覧いただき、判断に迷うときは弁護士などの専門家にご相談ください。

出典: フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)、公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」 https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2026/index.html

条件がまとまったら、まずは1本だけ頼んで試します。見るのは仕上がりだけではありません。約束どおりの日数で返事が来たか、直しは約束の日数で戻ったか、請求書は社内の決まりに合っていたか。7つの約束が実際に守られたかを確かめてから、2本目以降を続けて頼むかを決めましょう。

試しの1本から定期のご依頼に移るまでの進め方は、YouTubeの編集を外注する手順:最初の1か月の進め方にまとめています。

ウェビナー録画の場合に、依頼してから初稿が届くまでの流れは、ウェビナー録画の編集を依頼したら?で順に紹介しています。

よくある質問

個人に頼むとき、契約書は必ず要りますか?

決まった形の契約書がなくても、仕事の内容・報酬の額・支払期日などを、書面かメールなどで相手に示すことが、フリーランス法で求められる場面があります。7章のように、メールで条件をまとめて送り、相手から「この内容で大丈夫です」と返事をもらっておくのが手軽な方法です。どの決まりが当てはまるか、契約書を作るべきかは、弁護士などの専門家にご相談ください。

インボイスに登録していない個人に頼んでも大丈夫ですか?

頼むことはできます。ただ、自社の消費税の計算で差し引ける額が変わります(割合は4章の⑦を参照)。自社にどれくらい響くかは、経理のご担当者さまや税理士にご確認ください。

直しは何回までお願いできますか?

決まった回数はなく、相手によって違います。料金に含まれる回数、追加の料金になる条件、相手が直すまでの日数を、最初に確かめておきましょう。相手の間違い(字幕の誤字など)を直すときは回数に数えないか、も聞いておくと安心です。

連絡が途切れたり、納期に遅れたりしたらどうすればいいですか?

困らないためには、最初に「遅れそうなときは、いつ・どうやって知らせてもらえるか」と「連絡がとれないときに、途中までのデータをどう受け取るか」を決めておくことです。決めたことはメールで残しておきます。すでに連絡が途切れている場合は、メールで期限を区切って返事を求め、その記録を残してください。取引をやめるかどうかの判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。

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映作堂について

映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。返事の目安・休みの日・直しの回数・データの削除・請求書とお支払いなど、この記事で挙げたことへの映作堂の答えは、進め方と品質のルール・秘密保持とデータの取り扱い・よくある質問に書いています。お見積もりと一緒に、それらを1つにまとめた「ご契約条件書」もお送りします。まずは1本、お試しください。