依頼先が決まって、いよいよ編集を任せられる。そう思った矢先に、「素材はどうやって渡すの?」「直してほしい所は、どう伝えればいい?」「何本目から、決まった形で頼めばいいの?」と、次々に分からないことが出てきます。最初の数本で思ったように進まず、「結局、社内でやったほうが早い」となってしまうのは、とてももったいないことです。

最初の1か月の予定表

  1. 1週目 準備見本の動画・素材の置き場所・確認の日を決めるやること: 見本の動画を3本選ぶ/共有フォルダを1つ作る/確認役の予定に「確認の日」を入れる(目安: 1〜2時間・推定)
  2. 2週目 試しの1本短めの回を1本だけ渡すやること: 素材をフォルダに入れ、3行のメモを添えて知らせる/届いた初稿を確認の日に見る(目安: 渡すのに30分、確認に1〜2時間・推定)
  3. 3週目 直しと決まり帳直しを1回で伝え、次の回の決まりに変えるやること: 直しを1通のメールにまとめる/次の回にも当てはまる直しを、1行の決まりにして書き残す(目安: 1時間ほど・推定)
  4. 4週目 2本目と定期の形同じ直しが出ないかを見て、条件を決めるやること: 決まり帳を渡して2本目を頼む/本数・締め日・確認の日数・支払いをメールで残す(目安: 1〜2時間・推定)
図1 最初の1か月の予定表。週ごとに、社内のご担当者さまがやることと時間の目安(推定)をまとめました

外注の最初の1か月は「決まりを作る月」

まだ依頼先や予算が決まっていない方は、先に動画編集の依頼相場と動画編集を依頼する前に決める5つのことをご覧ください。この記事は、依頼先が決まった後の1か月の話です。

YouTubeの編集を外注(社外の編集者や会社に依頼)する会社は、めずらしくありません。会社でYouTubeを運用している担当者110名に聞いた調査(2023年)では、制作の形は「主に外注・一部内製」が54.5%、「全て外注」が16.4%でした。

一方で、外に頼むからこその悩みもあります。動画の制作を一部外注している62名に、外注の課題を聞いた調査(2025年)では、上位に次の2つが挙がっていました。

  • 納期が想定より長くなる: 40.3%
  • 企画や構成の意図がうまく伝わらない: 33.9%

こちらはYouTubeに限らない動画の制作全体の調査で、答えた人数も多くはないため、目安として見てください。それでも、「遅れる」「伝わらない」は、外注を始めたばかりの会社でよく聞く悩みです。

出典: 「企業のYouTube動画制作における実態調査」株式会社グローバルプロデュース、2023年8月17日発表(調査 2023年2月・YouTube運用担当者110名)/「動画制作の内製・外注率と課題に関する実態調査」株式会社ワンズマインド・株式会社AtoOne、2025年5月12日発表(調査 2025年4月7日〜14日・マーケティング・広報などの関係者111名。外注の課題は、内製と外注を併用している62名の回答)。ページへのリンクは、記事の最後の「この記事で参考にしたページ」にあります。

この2つは、依頼先の腕だけで決まるものではありません。意図を伝える材料がないまま頼んだり、社内で確認する日が決まっていなかったりすると、起こりやすくなります(推定)。1本目で完ぺきな仕上がりを求めるより、1本目で出た直しを「次の回の決まり」に変えて残すほうが、2本目からぐっと楽になります。

そのため、この記事では最初の1か月を「決まりを作る月」と考え、図1の4週間に分けて進めます。依頼先の納期によっては、2週目と3週目が少しずれても構いません。大事なのは順番です。

1週目:見本の動画・素材の置き場所・確認の日を決める

1週目は、まだ素材を渡しません。依頼先に「何を目指しているか」を伝える材料と、受け渡しの場所、社内で確認する日をそろえます。動画の役目や任せる範囲など、頼む前に決めておくことは動画編集を依頼する前に決める5つのことにまとめています。ここでは、その次の準備です。

見本の動画を3本選ぶ

「明るく、見やすい感じで」と言葉で伝えても、思い浮かべる動画は人によって違います。いちばん早いのは、見本の動画を見せることです。自社の過去の動画でも、ほかのチャンネルの動画でも構いません。

見本は1本より3本がおすすめです。1本だけだと、その動画の何を真似してほしいのかが伝わりにくいのですが、3本あると共通点が見えてきます。それぞれに「テロップの出し方が好き」「話のテンポがちょうどいい」など、どこが好きかを1行ずつ添えてください。「この雰囲気は自社らしくない」という動画が思い当たるなら、1本添えておくのも効果的です。

先の2023年の調査では、悩みとして「企業のブランドイメージとどこまで乖離させて良いかわからない」を46.4%の人が挙げていました。見本の3本は、この「どこまでが自社らしいか」の線を、言葉より早く伝えてくれます。

素材の置き場所を1つに決める

社内で使っている共有フォルダの中に、この依頼専用のフォルダを1つ作ります。その中に、回ごとのフォルダ(例: 「第12回_20261105」)を並べていく形にすると、毎回のリンクを送り直さずに済みます。見本の動画のURLと、表記の一覧などの資料も、ここにまとめておきます。

確認役の予定に「確認の日」を入れる

だれが確認するかを決めるだけでは、まだ足りません。初稿が届く予定の日がわかったら、その1〜2日後に、確認役の予定を1時間押さえておきます。納期の遅れは、依頼先の作業だけでなく、社内の確認待ちで起こることもあります(推定)。初稿を待つ間に確認の日を予定に入れておけば、少なくとも社内側で止まることは防げます。

2週目:試しの1本と、外注先への素材の渡し方

試しの1本は「短めで、話の筋が1本の回」を選ぶ

最初に頼む1本は、短めで、話のテーマが1つの回がおすすめです。短ければ確認の時間も短く、テーマが1つなら「意図と違う所」が見つけやすくなります。新商品の発表など、公開日が動かせない大事な回は、2本目以降に回すと安心です。

素材の渡し方の4ステップ

素材の渡し方は、最初に手順を決めておくと、2本目からは考えずにできます。

  1. フォルダに入れる回ごとのフォルダに
  2. 名前をそろえる日付・回・中身の順
  3. 3行のメモを添える役目・使わない所・注意
  4. 期限つきで共有して知らせるリンクと締め切りを送る
図2 素材の渡し方の4ステップ。毎回同じ手順にすると、取り違えや問い合わせが減ります

ファイルの名前は、「20261105_第12回_本編.mp4」「20261105_第12回_画面の録画.mp4」のように、日付・回・中身の順にそろえます。カメラや録画が複数あるときも、どれが何かがすぐに分かります。

いちばん大事なのは、3つ目の3行のメモです。素材と同じフォルダに入れるか、知らせるメールに書きます。

  1. この回の役目: だれに見てもらい、何をしてほしい回か(例: 初めての方に、無料相談を知ってもらう)
  2. 使わない所: 撮り直した部分や準備中の時間など(例: 00:00〜02:30 は準備中なので使わない)
  3. いちばん気をつけてほしいこと: 1つだけ(例: 料金の数字は画面にも文字で出す)

共有のリンクは「見るだけ」の権限にし、期限をつけておくと安心です。どんなデータを渡してよいか、預けたデータをいつ消してもらうかは、データの扱いと、できた動画の権利を決めるで詳しく書いています。

3週目:外注先への直しの伝え方と「決まり帳」

直しは、時間の位置つきで、1通にまとめる

初稿が届いたら、1週目に押さえた確認の日に見ます。気づいた順に送るのではなく、関係者の意見を確認役がまとめて、1通で返すのが基本です。直したい所は、「03:12」のような再生時間の位置と、どうなってほしいかをそろえて書きます。修正メモの書き方は、社内の確認役と、確認にかける日数を決めるに見本があります。

この記事で足したいのは、直し1つずつに「次の回からも同じにしてほしいか」を添えることです。そのまま使えるひな形を用意しました。

そのまま使える直しのお願いメールのひな形

件名: 【第〇回】初稿の直しのお願い(全【〇】か所)

【依頼先のお名前】さま

【会社名】の【お名前】です。初稿をありがとうございました。
社内で確認し、直してほしい所を1通にまとめました。

1. 【03:12】
 直してほしい所: 【テロップの文字が小さく、スマホで読みにくい】
 どうなってほしいか: 【スマホでも読める大きさにしたい】
 次の回から: 【同じにしてほしい/今回だけ】

2. 【08:40〜09:10】
 直してほしい所: 【説明の途中でBGMが大きく、声が聞き取りにくい】
 どうなってほしいか: 【話している間は、BGMを声より小さく】
 次の回から: 【同じにしてほしい/今回だけ】

「次の回から: 同じにしてほしい」としたものは、こちらで決まり帳に書き足し、次の依頼のときにお渡しします。
急ぎの所: 【なし/〇番だけ〇月〇日までに】
直した動画は、【〇月〇日】までにいただけると助かります。

直しを1行の「決まり」に変える

頼む前に用意する表記の一覧(前の記事)に対して、ここでは毎回の直しから決まりを育てていきます。

「次の回から: 同じにしてほしい」とした直しは、どの回にも当てはまる1行の決まりに書き直して残します。これが「決まり帳」です。表計算のシートでも、共有フォルダの中のメモでも構いません。

決まり帳(記入例)第1回の直しから作成 依頼先と社内で同じものを持つ
03:12
1本目の直し
テロップの文字が小さく、スマホで読みにくい
決まり帳に書く1行
テロップは1行15文字まで。スマホの画面で読める大きさにする
08:40〜09:10
1本目の直し
説明の途中でBGMが大きく、声が聞き取りにくい
決まり帳に書く1行
話している間のBGMは、声より目立たせない
12:05
1本目の直し
最後のお知らせの画面が、すぐに切れてしまう
決まり帳に書く1行
最後のお知らせは、読み終わるまで画面に残す
図3 決まり帳の記入例。「その回の直し」を、どの回にも使える「1行の決まり」に書き直します

ポイントは、「03:12の文字を大きく」のようなその回だけの指示ではなく、「テロップはスマホで読める大きさに」のような次の回でも使える言い方にすることです。社名や製品名の書き方をまとめた表記の一覧が「言葉」の決まりだとすると、決まり帳は「見せ方」の決まりです。

決まりは多すぎると、かえって守りにくくなります。1か月目は5〜10行を目安に収め、「今回だけ」の直しまで書き込まないようにします。

4週目:2本目で確かめて、定期の形を書面で決める

2本目で見るのは「同じ直しが出たかどうか」

2本目は、決まり帳を添えて頼みます。初稿が届いたら、仕上がりの好みだけでなく、決まり帳に書いた直しが、もう一度出ていないかを見ます。同じ直しが出なければ、決まりが伝わり、外注がうまく回り始めている合図です。新しく出た直しは、また決まり帳に足していきます。

1か月目の終わりに、次の6つを確かめてみてください。

  1. 決まり帳に書いた直しが、2本目では出なかったか
  2. 2本目の直しの数が、1本目より減ったか
  3. 約束の日に初稿が届いたか
  4. 確認役が、予定に入れた時間の中で確認を終えられたか
  5. 素材の受け渡しで、取り違えや問い合わせが起きなかったか
  6. 定期の条件を、メールや書面で残したか

決まり帳に書いたのに同じ直しが続くときは、決まりの書き方があいまいなのかもしれません。書き方を見直して、もう1本試してみるか、それでも変わらなければ、ほかの依頼先も考える目安にします。

定期の形は、メールか書面で残す

続けると決めたら、口頭の「じゃあ、来月からお願いします」で始めず、条件を書いたメールか書面を残します。決めておきたいのは次の6つです(例はすべて記入例です)。

決めること記入例
月の本数月4本(毎週1本の公開)
素材の締め日公開したい日の10日前までに、回ごとのフォルダに入れる
初稿と確認の日数初稿は素材を受け取ってから〇営業日。社内の確認は3営業日以内に返す
直しの回数1本につき〇回まで。決まり帳に書いた点の直しは回数に数えるか
支払い月末に締めて請求、翌月末に支払い(支払期日を日付で決める)
決まり帳の見直し月に1回、その月の最後の1本を確認するときに

料金の目安や、見積もりに「何が含まれるか」の確かめ方は、動画編集の依頼相場:1本の値段が変わる6つの条件と、見積もりの頼み方にまとめています。

個人(フリーランス)に頼む場合、頼む側は仕事の内容・報酬の額・支払期日などを、書面やメールなどですぐに示すことが、フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月施行)で決められています。当てはまるかどうかや細かい決まりは公正取引委員会のページをご覧いただき、詳しくは弁護士などの専門家にご確認ください。

出典: フリーランス・事業者間取引適正化等法、公正取引委員会 特設サイト

2か月目からの外注の回し方

2か月目からは、1か月目に決めた手順を、毎回同じ順番でくり返すだけです。1本ごとの流れは次のとおりです。

  1. 素材を入れる締め日までに
  2. 3行のメモで知らせる役目・使わない所・注意
  3. 初稿が届く決めた日数で
  4. 確認の日に見る予定に入れた1時間で
  5. 直しを1通で返す次の回からも、を添えて

月に1回、決まり帳を見直す

図4 2か月目からの1本ごとの流れ。月に1回、決まり帳を見直して、次の月に引き継ぎます

月の初めに、その月の公開日から逆算して、素材の締め日と確認の日をまとめてカレンダーに入れておくと、確認待ちで止まることがなくなります。

決まり帳は、月に1回だけ見直します。もう守られていて当たり前になった決まりや、方針が変わって要らなくなった決まりは消し、いつも今の自社に合った10行前後を目安にしておきます。担当者が替わっても、決まり帳と見本の3本があれば、同じ説明をくり返さずに引き継げます。

本数を増やしたくなったときは、依頼先の手が空いているかより先に、社内の確認役が月に何時間、確認に使えるかから考えると、無理のない本数になります。

まとめ

YouTubeの編集を外注した最初の1か月は、完成品を受け取る月ではなく、次の回から迷わないための「決まり」を作る月です。1週目に見本の3本・素材の置き場所・確認の日を決め、2週目に短めの回で試し、3週目に直しを決まり帳に残し、4週目に2本目で確かめてから、定期の条件をメールか書面で残します。

1か月目に手間をかけた分だけ、2か月目からの確認は軽くなります。まずは図1の予定表を、自社のカレンダーに書き写すところから始めてみてください。

よくある質問

試しの1本は、どの回を選べばよいですか?

短めで、話のテーマが1つの回がおすすめです。確認に時間がかからず、意図と違う所も見つけやすくなります。公開日が動かせない大事な回は、決まり帳ができてからの2本目以降に回すと安心です。

直しの回数は、どう決めればよいですか?

料金に含まれる回数は依頼先ごとに違うため、4週目の書面で「1本につき何回まで」と決めておきます。最初の1か月は、回数そのものより、「1本目で伝えた直しが、2本目で出ていないか」を見るのがおすすめです。同じ直しが出なくなっていけば、回数は自然と減っていきます。

1か月で「合わない」と分かったら、どうすればよいですか?

決まり帳と見本の3本は、次の依頼先にもそのまま渡せます。1か月目の手間は無駄になりません。やめるときは、預けた素材やデータを削除してもらい、削除したという連絡をもらっておきましょう。

定期にするとき、月に何本から頼めばよいですか?

社内の確認役が、月に何時間を確認に使えるかから考えるのがおすすめです。最初の1か月で1本の確認にかかった時間が分かっているはずなので、それをもとに、無理なく確認できる本数から始め、慣れてきたら増やしていきます。

この記事で参考にしたページ

1章・2章の調査の数字は、次のページで確かめました(2026年10月23日に映作堂で確認)。どちらも動画の制作や運用を手がける会社による調査です。

株式会社グローバルプロデュース『企業のYouTube動画制作における実態調査』(2023年8月17日発表)
株式会社ワンズマインド・株式会社AtoOne『動画制作の内製・外注率と課題に関する実態調査』(2025年5月12日発表)

次に読む

映作堂について

映作堂は、会社のウェビナー録画とYouTube動画の編集をお引き受けしています。録画を送っていただくだけで、伝わる動画に仕上げます。お試しの1本で決めたテロップやサムネイルの型は、ご契約のあともそのまま使います。一度いただいた表記や好みのご指摘は、記録して次の納品から反映します。まずは1本、お試しください。